歩く瞑想のやり方

歩く瞑想(歩行瞑想)は、マインドフルネス瞑想の方法の一つです。歩くときの身体の感覚を観察することにより、意識を「今、ここ」に向けていきます。

歩く瞑想は、マインドフルネスヨガと同様、身体の動きに注意を向けるので、意識を集中しやすく、わかりやすい、というメリットがあります。また、毎日の生活の中に手軽に取り入れることができます。

歩く瞑想は、古来から、テーラワーダ仏教、ヴィパッサナー瞑想などで実践されてきました。歩行瞑想や歩行禅とも呼びます。いろいろなやり方がありますが、ここでは、マインドフルネスストレス低減法(MBSR) で一般的に実践されている方法を紹介します。

1. 歩く瞑想の練習

歩く瞑想を練習するときは、身体の感覚をよく観察するために、最初のうちは、ゆっくりと小さな歩幅で歩く方がやりやすいです。ただし、あまりゆっくり歩くと重心を崩して倒れてしまうおそれがあるので、十分、気を付けましょう。

最初のうちは、注意がそらされないように、2メートルくらいの距離を行ったり来たりするのがいいでしょう。

このような方法で練習していると、他人から不気味がられるので、できれば、人に見られない部屋の中で練習することをお勧めします。

最初は10分ぐらいから始めて、慣れてくれば、30分から60分続けてみます。日常生活で歩くときに取り入れてみてもよいでしょう。

2. 歩く瞑想のガイダンス

以下のビデオ、または音声、テキストをご参照ください。

2-1. ビデオガイダンス(歩く瞑想の練習)

2-3. 音声ガイダンス(歩く瞑想の練習)

2-4. テキストガイダンス(歩く瞑想の練習)

(1) 立つ

まず、まっすぐに立ち上がって、背筋を伸ばして、肩と腕の力を抜きます。手は身体の前か後ろで組みます。あるいは、身体の横に添えておきます。視線は前方の一点に定めます。

身体の様子や心の様子を観察します。自分の身体や心に優しい気持ちと好奇心を持つようにしましょう。心がざわついている場合は、考えや感情を観察して、消えていくのを待ちます。

(2) 観察する身体の場所を決める

片方の足の裏に意識を集中し、この部分の感覚を観察します。車椅子や杖を使っていて、足の裏を観察できない場合は、手や膝など、別の部分を観察してもかまいません。

(3) 身体を動かす前にその意図を意識する

足を動かす動作をする前に、足を動かすという意図を意識します。

(4) 片足を上げて、前に進め、床に下して、体重をかける

片足を上げて、空中を前に進めて、床にこの足を下して、体重をかけるという、一連の動作による足の裏の感覚を観察します。これを左右順番に繰り返します。

あるいは、さらに細かく、「片足を上げる」、「前に進める」、「床に下す」、「体重をかける」の個々の動作に分けて、足を動かす意図とその感覚を観察します。

(5) 心が観察から離れたら、それに気が付いて観察に戻る

いつの間にか、身体の観察から心が逸れて、なにか別のことを考えていることに気が付いたら、次の身体の動作で体の観察に戻ります。

心が乱れていて、身体の動作を観察することが難しいと感じたら、立ち止まって、自分の心の中の考えや感情を観察して、心が静まるのを待ちます。

(6) 身体の向きを変えて、立つ

2メートルぐらい歩いたら、立ち止まって、身体の向きを反対側に変えて引き返します。身体の向きを変えるための個々の動作についても、それぞれ動かす前に動作を意識して、実際の動作の感覚を観察します。

身体の向きを変えたら、また立った姿勢になって、身体と心を観察して、足を動かす意図を確認してから歩き始めます。

3. 歩く瞑想の利点、注意点

3-1. 意識を集中しやすい

歩く瞑想は、動作に意識を集中させるので、意識を集中していることがわかりやすいという利点があります。また、意識が対象から外れたときも、そのことに気が付きやすいです。

歩き始めるとき、心が静まるまで立ち上がった姿勢を続けることによって、マインドレスな状態で瞑想に入るのを防ぐことができます。途中で意識が外れてしまった時も、立ち止まって、心が落ち着くのを待つことも可能です。

3-2. 日常生活での応用

歩く瞑想は、ゆっくりとした速度だけでなく、いろいろな速度で実践することができます。日常生活の中で、通勤や散歩、ジョギングなどでも応用が可能です。

3-3. 視覚が意識をそらしやすい

歩く瞑想の時は、どうしても、視覚が意識をそらす原因になりやすいです。部屋の中で歩く瞑想をするときは、視点を前方の一点に定めてやるのがいいでしょう。

日常生活で歩く瞑想を実践するときには、いろいろなものが視界に入るので、いつの間にか別のことを考えてしまいがちです。だからといって、目をつむったり、伏せたり、視界を制限して歩くのは危険です。

4. まとめ

歩く瞑想は、マインドフルネスヨガのように身体の動作を意識した瞑想なので、意識を集中していることが、わかりやすいという利点があり、日常生活でも活用できるので便利です。その一方で、視覚が意識をそらす原因になりやすいです。

マインドフルネスストレス低減法(MBSR)は、科学的な臨床結果に基づいてカリキュラムが編成されており、歩く瞑想以外にも、座る瞑想、ボディスキャン、マインドフルネスヨガなど様々なマインドフルネス瞑想を取り入れて、効果的にマインドフルネスを学ぶことができます。

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