慈悲の瞑想

慈悲の瞑想

慈悲の瞑想とは、自分や他者を慈しむ心を育てるための瞑想で、もともとテーラワーダ仏教の伝統の中で実践されてきたものです。ここでは、マインドフルネスストレス低減法(MBSR) で取り入れらえている慈悲の瞑想の意味や、効果、実践方法について説明します。

1. 慈悲の瞑想の意味

「慈悲の瞑想」は、「慈愛の瞑想」、「愛と慈しみの瞑想」と呼ばれることもあります。英語では、loving-kindness meditation と呼ばれます。

ここでいう慈悲とは、“Loving-kindness” の著者Sharon Salzburg氏によると、「自分の命が他者と密接につながっていることを意識すること」であるといいます。この慈悲の心を育てることが慈悲の瞑想の目的です。

慈悲の心を育てることによって、自分を含め、すべての生き物にやさしい気持ちで接することができるようになります。

2. 自分の命が他者とつながっている

私は、最初のうち、慈悲の瞑想に抵抗がありました。「自分の命が他者とつながっている」というところが宗教的で非科学的な感じがしたからです。

ところが、最近は受け入れることができるようになってきました。確かに自分の命が他者とつながっていることが分かったためです。

2-1. ミトコンドリア・イブ

細胞レベルで考えると、自分の身体は、約37兆個の細胞からできています。すべて、たった1個の受精卵から分裂して増えたものです。この受精卵は、もともと母親の細胞の一つに父親の遺伝子が加わって変化したものでした。

このように考えると、母親が死んだ後でも、私が生きている限り、母親の細胞がすべて死んだわけではなくて、私の細胞として生き残っていることになります。

私の母親は同じように、祖母から細胞と遺伝子を受け継いでいます。このように代々母方をさかのぼっていくと、全人類の共通の女系の祖先に行き着きます。この祖先は、ミトコンドリア・イブと呼ばれ、約16万±4万年前にアフリカで生きていた、とされています。

人類の移動と祖先のグループ

ミトコンドリア・イブは、遠い昔に死にました。しかし、その細胞は、死滅しておらず、私を含めた全人類の細胞として生きている、といえると思います。別の言い方をすると、ミトコンドリア・イブの受精卵1個が分裂して、受精の度に父方の遺伝子を交えつつ、自分を含め、全人類の細胞に変化したのです。

2-2. LUCA

さらに祖先をさかのぼっていくと、動物、植物、菌類、細菌を含む地球上の全ての生物の共通祖先に行き着きます。この共通祖先は、LUCA (Last Universal Common Ancestor)と呼ばれています。LUCAは、約40億年前の地球に単細胞生物として生きていました。

ミトコンドリア・イブと同じように、LUCAの細胞は死滅しておらず、自分を含めた全ての生物の細胞として、この瞬間も生きている、と考えることができます。

あるいは、LUCA自身が今でも生きていて、私やほかの生き物は、40億年かけて成長したLUCAの一部分であると考えることもできるのではないでしょうか?

そうすると、私が他の生き物を食べたり、私が死んだ後に細菌に分解されたりするのは、40億年かけて巨大に成長したLUCAの細胞同士がコミュニケーションをしているようなものです。

このように祖先が同じだと考えると、すべての生き物に同胞意識がわいてくるのではないでしょうか? もとは同じ細胞だったわけですから。

LUCAの末裔が生きている限り、私もある意味、生きているといえるのではないか、と思います。そうすれば、自分が死ぬことはそんなに恐ろしいことではないかもしれません。また、どのような命も粗末にはできないです。

2-3. ビッグバン

さらに時代をさかのぼって、138億年前のビッグバン、つまり宇宙の始まりまでさかのぼれば、自分は、全宇宙の物質やエネルギーとつながっているといえるかもしれません。

私の場合、このように、ミトコンドリア・イブ、LUCA、ビッグバンといった祖先や昔の出来事を通じて、他者とのつながりを意識するようになりましたが、別にこのようなものを持ち出さなくても、現在の自分に直接、間接の影響があるものであれば、なんでも、自分の命と何らかの関係性があるという見方もできると思います。

3. 慈悲の瞑想のやり方

アインドフルネスストレス低減法(MBSR)では、第6週と第7週のクラスの間に実施する全日クラスで、慈悲の瞑想を練習します。

慈悲の瞑想のやり方は、様々な方法がありますが、基本的には、自分に対するやさしい気持ちを呼び起こして、それを身近な人から世界中の人や生き物に広げていきます。

ここでは、しげまるによる慈悲の瞑想の音声ガイダンスと、ジョン・カバットジン博士による慈悲の瞑想のテキストを掲載しておきます。

3-1. しげまるによる慈悲の瞑想(音声ガイダンス)

3-2. ジョン・カバットジン博士による慈悲の瞑想(テキスト)

  1. まず、呼吸に意識を向けて観察します。
  2. 自分自身に対するやさしい気持ちを呼び起こします。たとえば、だれか、親しい人が自分を受け入れてくれた時のことを思いだします。
  3. 自分自身に対して、簡単な言葉をかけます。自分で作ってもよいですし、他の人が作ったものを使ってもよいです。本当に実現すると信じて、心を込めて唱えます。たとえば、「私の悩みや苦しみがなくなりますように。幸せでありますように。健康でありますように。楽に生きていけますように。」
  4. 次に、だれか特定の親しい人のことを心に思い浮かべて、その人の幸せを願います。たとえば、「xxさんが幸せでありますように。悩みや苦しみがなくなりますように。愛と喜びを経験できますように。楽に生きていけますように。」
  5. 同じ方法で家族や子供、友人など、他の親しい人々の幸せを願います。
  6. 次に、何らかの理由で気まずい感じがしている人を一人思い起こします。自分に害をなす人や敵ではなくて、ただ、やさしい気持ちを持てなかった人を選んで、同じ方法でその人の幸せを願います。
  7. 次に、自分に害をなした人を思い起こして、その人の幸せを願います。この人がやったことを必ずしも許す必要はなく、この人も悩みや苦しみがある一人の人であることを単に認めてあげるのが目的です。この部分はオプションですので、やらなくても構いません。もちろん、この人を許してあげてもかまいません。
  8. 次に、その他の人、知っている人も知らない人も、人間以外の生き物も好きなだけ範囲を広げて、幸せを願います。
  9. 最後に、自分自身の身体や呼吸の観察をして、瞑想を振り返ってから終わります。

4. 慈悲の瞑想の効果

ジョン・カバットジン博士によると、この慈悲の瞑想を継続して実施することによって、以下の効果があるとのことです。

  • 自分自身と他者にやさしい気持ちを持つことができる。
  • 自分自身と他者の間に絶対的な境界線などないことが理解できるようになる。
  • これにより、マインドフルネスの練習、習得がやりやすくする。

5. まとめ

慈悲の瞑想を続けることによって、自分と他者がつながっていることを理解し、自分を含めたすべての命に対して、やさしい気持ちを持つことができるようになります。

そうすると、心が穏やかになり、マインドフルネスの練習、習得がやりやすくなります。

慈悲の瞑想を含め、マインドフルネスを効果的に学ぶにためは、8週間継続して、マインドフルネス瞑想を練習する必要があるとされています。ひとりだけで習得するのは難しいので、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)プログラムのコースに参加されることをお勧めします。

日本で、受講可能なMBSR のコースは、コースは、下のリンクをご参照ください。

日本で受講可能な8週間のマインドフルネスストレス低減法(MBSR)コース


出典:
Kabat-Zinn, J. 2013 Full Catastrophe Living

 

マインドフルネス瞑想のやり方

マインドフルネス瞑想のやり方

ここでは、様々なマインドフルネス瞑想のやり方を説明します。いずれも、マインドフルネスストレス低減法 (MBSR) で取り入れられているものです。

マインドフルネスの入り口として、この中で自分に合った方法を試してみてはいかがでしょうか?

1. 食べる瞑想

食べる瞑想は、マインドフルネスストレス低減法のコースの最初のクラスで練習します。この瞑想の目的は、五感を使って食べ物を観察することによって、「今、ここ」で起こっていることに気付くことです。やり方、以下の通りです。

  1. まず、干しブドウか、それに類する小さな食べ物を2粒、用意します。
  2. 一粒目を手に取って、自分の目でできるだけ詳しく観察します。時間をかけて、まるで、「火星人が地球にやってきて初めて干しブドウを見る時のように」、干しブドウを新鮮な気持ちで、初めて見る物体として扱います。表面のしわとか、色とか、光の反射具合とか、できるだけ詳しく観察します。
  3. 次に、指で触った感覚を観察し、耳の近くにもっていって音を観察します。音は聞こえないですが、耳の近くに持ってきて指で転がすと、かすかに音がします。
  4. さらに、においをかいで、唇に乗せて、口の中に入れて、歯の間に乗せて、噛んで、飲み込みます。このそれぞれの過程で、時間をかけて、五感で感じることを、できるだけ詳しく観察します。
  5. 途中で、心の中に、「なんで私こんなことをやっているのだろう」とか、「早く食べてしまいたい」とか、「もっと食べたい」とか、いろいろな考えが起こってきたら、自分の心にそのような考えや感情が起こっていることに気が付いて、自分の意思で「物体」の観察に戻ります。
  6. 残ったもう一粒も同じ要領で観察します。

ここまでの進め方をビデオにしたものがありますので、ご参照ください。

食べる瞑想は、普通に食事をするときにも、実践できます。干しブドウの要領でやると、時間がいくらあっても足りませんので、最初の一口、二口だけ実践するといいでしょう。食事のたびにマインドフルネスの練習ができます。

これを日々実践すれば、食事がとてもおいしく感じられるようになります。

また、自分の食べ物に関する欲求がどのようなものかわかってきます。

たとえば、食べ物を見たり、においをかいだりしただけで、早く口に入れたいという欲求がわいてきます。また、少し食べ物を口に入れただけで、もっとたくさん口に入れたいという欲求がわいてきます。ストレスを抱えている時は、このような欲求が特に強くなります。

普段、私たちは、無意識のうちに、このような食べ物の欲求の影響を受けています。

食べ物に関する欲求をありのままに観察する習慣をつけると、無意識のうちに食欲の影響を受けて食べ過ぎたり、不健康なものを食べることを防ぐことができるようになってきます。

この食べ物の欲求を観察するときのコツは、そのような欲求があることを客観的に観察して、そのことで自分を責めたりしないことです。食べ物に関する欲求も進化に由来するものです。自分に対する優しい気持ちと好奇心を持ちましょう。

2. ボディスキャン

ボディスキャンは、自分の身体のそれぞれの部分の感覚を順番に観察し、最後に身体全体の感覚を観察する瞑想方法です。この瞑想も、自分の身体の感覚を観察することにより、「今、ここ」で起こっていることに気付くことを目的とします。

  1. まず、仰向けに横になって、身体全体の感覚を観察し、手をお腹において、お腹で呼吸を観察します。
  2. 次に、意識をお腹の呼吸から、身体の中を通って、左足の親指に移します。
  3. 自分の左足の親指、その他の指、足の裏、かかと、足の甲、足首、脛、ふくらはぎ、太もも、といった具合に、左足の各部分の感覚をありのままに観察します。
  4. 何も感じなければ、何も感じないことを観察します。途中で、別のことを考えて観察をしていないことに気が付いたら、自分の意志で、身体の観察に戻ります。
  5. 左足の太ももまで来たら、一旦意識を広げて、左足全体の感覚を観察します。そして、また、意識を絞って、左足の太ももに戻します。
  6. 同じように、身体の細かい各部分を観察したあと、意識を広げてまとまった部分全体を観察します。左足に続けて、右足、胴体、両手、頭を観察します。
  7. 頭から、さらに意識を広げて、身体全体の感覚を観察します。

具体的なやり方は、下のビデオご参照ください。

ボディスキャンの瞑想練習では、ほとんどの人が途中で眠くなってしまいます。自分もそうでした。この練習は集中力と忍耐力を鍛える練習でもあると思います。

自分の場合は、自分の身体の各部分を昔からの友達だと思って、ボディスキャンの時に身体の各部分に会いに行く意識を持つようにすると、眠くなりにくいです。各自、どうすれば眠らずに最後までできるか、工夫していただければと思います。

眠らずに意識を集中したままでボディスキャンの最後までいくと、とても気持ちいいです。ただし、気持ちよくなろうと思ってボディスキャンをやると、そんな意識が観察を邪魔してうまくいかなかったりします。

3. 座る瞑想

マインドフルネスストレス低減法(MBSR) では、8週間のコースの中で、まず座り方から学び、呼吸の観察、身体の感覚の観察を練習して、最終的には、何も選択しない瞑想の練習をします。

3-1. 座り方

マインドフルネスストレス低減法 (MBSR) では、座る瞑想をする場合、椅子に座っても、床に座ってもかまいません。具体的な方法、以下のとおりです。

3-1-1. 椅子に座る場合

  1. 椅子に座った時に、両ひざの位置が腰骨の位置と同じか、低い位置にあるような姿勢をとります。足の裏が床につかない時は、足の下にクッションなどを敷きます。
  2. もし背中が痛ければ、背もたれに、もたれていただいて結構です。そうでなければ、椅子のやや前の方に、背筋を伸ばして座ります。
  3. 背筋を伸ばして座ると、背骨の下のほうがやや前方に湾曲します。この自然な湾曲を意識します。その方が長い時間座れるようになります。
  4. 肩と腕の力は抜いて、手は、膝の上か、太ももの上に自然に置くか、手を組みます。頭は胴体の上でバランスよく安定するところに置きます。頭のてっぺんが天井から釣られているイメージを持ちます。

3-1-2. 床に座るとき

床に座るときの基本姿勢は、椅子に座るときと同じです。

  1. 腰骨が膝と同じか、より高い位置にあるように調整します。座骨の下に座布団やクッションを敷くとよいでしょう。
  2. 足の組み方は、結跏趺坐、半跏趺坐、正座、安楽座などがありますが、自分にあったものを選びます。膝が痛い人は、結跏趺坐や正座は避けたほうがいいでしょう。大き目のクッションの上にまたがって、脛と足の甲を床につける姿勢でも構いません。
  3. 背筋を伸ばして座ると、背骨の下のほうがやや前方に湾曲します。この自然な湾曲を意識します。その方が長い時間座れるようになります。
  4. 肩と腕の力は抜いて、手は、膝の上か、太ももの上に自然に置くか、手を組みます。頭は胴体の上でバランスよく安定するところに置きます。頭のてっぺんが天井から釣られているイメージを持ちます。

下のビデオの説明も併せてご参照ください。ビデオは、呼吸を観察する瞑想を含みます。

3-2. 呼吸を観察する瞑想

座る瞑想にはいろいろなバージョンがあるのですが、まず、呼吸を意識した瞑想から練習します。

呼吸はマインドフル瞑想のとても便利な道具です。いつでも、どこにいても、呼吸を観察することによって、「今、ここ」に意識を向けることができます。呼吸の観察は、すべてのマインドフル瞑想の基本になるものです。

また、呼吸の観察に慣れておくと、日常生活においても、呼吸を観察することによって、いつでも、心を落ち着かせることができるようになります。

やり方は、次のとおりです。

  1. 椅子、または、床に座って姿勢を正します。
  2. 自分の呼吸を一番感じるところ、たとえば、鼻とか胸とかお腹などを探して、その部分の感覚で呼吸を観察します。
  3. 呼吸の流れを、下のように一つ一つ、できるだけ詳しく観察していきます。たとえば、
    ・・・⇒ 吸う息の始まり ⇒ その続き ⇒ 吸う息の終わり ⇒ 吸う息と吐く息の間の微妙なポーズ ⇒ 吐く息の始まり ⇒ その続き ⇒ 吐く息の終わり ⇒ 吐く息と吸う息の間の微妙なポーズ ⇒ 吸う息の始まり・・・
  4. 瞑想の途中で呼吸を変えことを考える必要はありません。呼吸について考えるのではなくて、今の呼吸をありのままに観察します。
  5. 途中で、いつの間にか呼吸から注意が逸れて、別のことを考えていることに気が付いたら、そのような自分の心にやさしい気持ちと好奇心を持って接して、自分の意志で、呼吸に注意を戻します。瞑想中、何度でもこれを繰り返します。この繰り返しがマインドフルネスの練習になります。

3-3. 身体全体を観察する瞑想

呼吸を身体の1か所で観察する瞑想を続けてできるようになってきたら、次に、意識を広げて、呼吸をする身体全体の感覚を観察します。

ボディスキャンで、意識を身体の一点に集めたり、全体に広げたりする練習をしていると、比較的やりやすいと思います。

3-4. 音を観察する瞑想

次に、身体全体の感覚から、今聞こえている音に意識を移します。

身体の中から聞こえてくる音、部屋の中から聞こえてくる音、部屋の外から聞こえてくる音、音の強さや高さ、リズム、音色など、ここでもできるだけ詳しく観察します。

音の意味を考えるのではなくて、音自体を現象として観察します。

音が聞こえると、心が素早く動いて何の音なのか考えたり、ラベルをはったりしますが、そのような自分の心の働きにも気が付きます。そうして、また、音に注意を戻します。

3-5. 今の考え、感情を観察する瞑想

次に、心の中に起こる「考え」や「感情」を観察します。

自分の心の中に沸き起こる、いろいろな「考え」も、他の瞑想対象のように、心で起こっている現象、出来事として観察することができます。過去の記憶とか、人の顔とか、明日の仕事の段取りとか、いろいろな「考え」が心に発生して、それが続いて、やがて消えていく様を観察します。

心に浮かぶ「考え」に伴って、怒り、悲しみ、喜びといった感情が心の中に現れることがあります。このような感情も、心で起こる現象として観察します。

考えや感情を観察していると、いつの間にか考えや感情に巻き込まれてしまって、自分が観察していないことに気が付くかもしれません。そのようなときは、そのような自分の心に優しい気持ちで接して、また、考えや感情の観察に戻ります。

心が乱れて考えや感情の観察が難しいと感じたら、一旦、呼吸の観察に戻ります。心を落ち着けてから、考えや感情の観察に戻ります。

3-6. 何も選択しない瞑想

次に、意識を広げていって、呼吸、身体全体の感覚、音、考えや感覚といった、自分が今体験していることをすべて意識に含め、観察します。

この瞑想では大空のたとえ話がよく用いられます。雲が大空を通り抜けて行っても、大空はそれを追いかけたり、つかまえたりしません。自分が大空になったような気持ちで、いろいろな体験、たとえば、呼吸、身体感覚、音、考え、感情などが起こっては消えていくのを観察します。この瞑想は、「何も選択しない瞑想 (Choice-less Awareness) 」と呼ばれます。

4. マインドフルネス・ヨガ

マインドフルネス・ヨガは、身体を鍛えたり、柔軟にしたりということよりも、ヨガのポーズをとりながら、身体の感覚をありのままに観察することを通じて「今、ここ」に意識を集中することを目指します。

このため、だれでも実践できる、最も簡単なハタ・ヨガのポーズが採用されています。

マインドフルネスストレス低減法 (MBSR)では、以下の2つのシークエンスが用意されています。

4-1. 横になった姿勢のヨガ

4-2. 立った姿勢のヨガ

5. 歩く瞑想

歩く瞑想(歩行瞑想)は、マインドフルネス瞑想の方法の一つです。歩くときの身体の感覚を観察することにより、意識を「今、ここ」に向けていきます。

意識が「今、ここ」から離れてしまった時には、自分の考えや感情を観察して意識を「今、ここ」に戻すまで、身体の動きを止めておくことができます。

また、歩く瞑想を身につけると、出勤や通学の途中でも気軽に瞑想を行うことができます。

ビデオガイダンス(歩く瞑想の練習)

音声ガイダンス (歩く瞑想の練習)

詳細は、歩く瞑想の紹介ページをご参照ください。

6. 慈悲の瞑想

慈悲の瞑想では、自分自身へのやさしい気持ちを思い描いて、それを自分の身近な人、苦手は人、さらに、すべての生きとし生けるものに広げていきます。

これによって、自分自身と他者に対する優しい気持ちと好奇心を育てていきます。これがマインドフルネスの習得に役立ちます。

詳細は、慈悲の瞑想についてのページをご参照ください。

音声ガイダンス(慈悲の瞑想)

7. 山の瞑想

山の瞑想は、座っている自分を山に見立てて、風が吹こうが、嵐が来ようが、人に褒められようが、けなされようが、何があっても動じない様子を心に思い描く瞑想です。ストレスフルな状況でも、動じない心を育てます。

8. まとめ

ここでは様々なマインドフルネス瞑想の方法を紹介しましたが、ひとりで練習して習得するのは、なかなか難しいと思います。

これらのマインドフルネス瞑想を効果的に習得するには、8週間のマインドフルネスストレス低減法 (MBSR)のプログラムに参加されることをお勧めします。

このプログラムは、マサチューセッツ大学医学部でジョン・カバットジン博士が科学的な知見に基づいて、肉体的、精神的なストレスを低減するために開発したものです。

日本で参加可能なコースは、下のリンクをご参照ください。

日本で参加可能なマインドフルネスストレス低減法(MBSR)8週間コース

マインドフルネスヨガとは

マインドフルネスヨガ

マインドフルネスヨガとは、ヨガの実践方法の一つで、特に自分の身体や心の状態に気づいた状態で実践するヨガのことです。マインドフルネスストレス低減法(MBSR) のプログラムで、マインドフルネスの練習のために取り入れられています。

1. マインドフルネスヨガと他のヨガとの違い

もともと、ヨガ(ヨーガ)は、古代インド発祥の宗教的行法です。ヨガの語源は、牛馬につける「くびき」の意味で、心身を制御するということを示唆しているそうです。

1990年台後半から、身体的ポーズ(アーサナ)を中心とした、フィットネス的なヨガが世界中で流行するようになりました。日本のフィットネスクラブ等で行われているのは、こちらの方です。

フィットネス的なヨガは、健康の増進を目的としています。運動の強度や身体の柔軟さ、ヨガの経験に応じて、クラス分けされて、身体を鍛えて、柔軟さを高めるように指導されます。

その一方で、マインドフルネスヨガは、健康の増進よりも、身体や心の感覚を通じて、「今、ここ」で起こっていることに気づくことを目的としています。

したがって、マインドフルネスヨガでは、ヨガのポーズの中でも最も簡単なものが採用され、身体の感覚を観察に適したポーズの順番が設定されています。

マインドフルネスヨガは、ヨガをやったことがない人でも、問題なく実践できます。椅子に座った状態でも可能です。ヨガのポーズに似せて手足を動かすだけでも結構ですし、自分には難しいポーズの時には、身体は動かさずに、心の中でそのポーズをとっているところを想像するだけでも構いません。

講師からは、ポーズの間、身体の感覚を観察すること、それから、身体をいたわっていただくようにガイダンスされます。

マインドフルネスヨガで採用されているヨガのポーズは、身体の感覚を観察するのにとても適しています。

身体の様々な部分を、無理のない範囲で伸ばしたりねじったりして感覚を観察していくので、とても気持ちいいです。

2. マインドフルネスヨガのやり方

マインドフルネスストレス低減法の8週間のコースでは、講師のガイダンスによってポーズを学んでいきます。

「横になった姿勢のヨガ」と「立った姿勢のヨガ」の2種類のヨガのポーズがあり、それぞれ、45分程度の長さです。

「立った姿勢のヨガ」の基本ポーズである「山のポーズ」は、日常生活においても、心が乱れた時に落ち着かせるためのポーズとして推奨されます。

マインドフルネスストレス低減法で使用されるシークエンスは、以下のビデオの通りです。

2-1. 横になった姿勢のヨガ

2-2. 立った姿勢のヨガ

3. まとめ

マインドフルネスヨガとは、ヨガの一種で、「今、ここ」にある身体や心の状態を観察することに主眼を置いています。

ヨガのポーズの中でも、最も簡単なものが採用されているため、ヨガをまったくやったことがない人でも実践することができます。

マインドフルネスストレス低減法(MBSR) のコースでは、講師のガイダンスに従って、「立った姿勢のヨガ」、および、「横になった姿勢のヨガ」の2種類のヨガを練習します。

マインドフルネスヨガを含め、マインドフルネスを学ぶためには、8週間のマインドフルネスストレス低減法(MBSR) プログラムに参加されることをお勧めします。

日本で受講可能なコースは、下のリンクをご参照ください。

日本で受講可能な8週間のマインドフルネスストレス低減法(MBSR)コース

歩く瞑想のやり方

歩く瞑想(歩行瞑想)は、マインドフルネス瞑想の方法の一つです。歩くときの身体の感覚を観察することにより、意識を「今、ここ」に向けていきます。

歩く瞑想は、マインドフルネスヨガと同様、身体の動きに注意を向けるので、意識を集中しやすく、わかりやすい、というメリットがあります。また、毎日の生活の中に手軽に取り入れることができます。

歩く瞑想は、古来から、テーラワーダ仏教、ヴィパッサナー瞑想などで実践されてきました。歩行瞑想や歩行禅とも呼びます。いろいろなやり方がありますが、ここでは、マインドフルネスストレス低減法(MBSR) で一般的に実践されている方法を紹介します。

1. 歩く瞑想の練習

歩く瞑想を練習するときは、身体の感覚をよく観察するために、最初のうちは、ゆっくりと小さな歩幅で歩く方がやりやすいです。ただし、あまりゆっくり歩くと重心を崩して倒れてしまうおそれがあるので、十分、気を付けましょう。

最初のうちは、注意がそらされないように、2メートルくらいの距離を行ったり来たりするのがいいでしょう。

このような方法で練習していると、他人から不気味がられるので、できれば、人に見られない部屋の中で練習することをお勧めします。

最初は10分ぐらいから始めて、慣れてくれば、30分から60分続けてみます。日常生活で歩くときに取り入れてみてもよいでしょう。

2. 歩く瞑想のガイダンス

以下のビデオ、または音声、テキストをご参照ください。

2-1. ビデオガイダンス(歩く瞑想の練習)

2-3. 音声ガイダンス(歩く瞑想の練習)

2-4. テキストガイダンス(歩く瞑想の練習)

(1) 立つ

まず、まっすぐに立ち上がって、背筋を伸ばして、肩と腕の力を抜きます。手は身体の前か後ろで組みます。あるいは、身体の横に添えておきます。視線は前方の一点に定めます。

身体の様子や心の様子を観察します。自分の身体や心に優しい気持ちと好奇心を持つようにしましょう。心がざわついている場合は、考えや感情を観察して、消えていくのを待ちます。

(2) 観察する身体の場所を決める

片方の足の裏に意識を集中し、この部分の感覚を観察します。車椅子や杖を使っていて、足の裏を観察できない場合は、手や膝など、別の部分を観察してもかまいません。

(3) 身体を動かす前にその意図を意識する

足を動かす動作をする前に、足を動かすという意図を意識します。

(4) 片足を上げて、前に進め、床に下して、体重をかける

片足を上げて、空中を前に進めて、床にこの足を下して、体重をかけるという、一連の動作による足の裏の感覚を観察します。これを左右順番に繰り返します。

あるいは、さらに細かく、「片足を上げる」、「前に進める」、「床に下す」、「体重をかける」の個々の動作に分けて、足を動かす意図とその感覚を観察します。

(5) 心が観察から離れたら、それに気が付いて観察に戻る

いつの間にか、身体の観察から心が逸れて、なにか別のことを考えていることに気が付いたら、次の身体の動作で体の観察に戻ります。

心が乱れていて、身体の動作を観察することが難しいと感じたら、立ち止まって、自分の心の中の考えや感情を観察して、心が静まるのを待ちます。

(6) 身体の向きを変えて、立つ

2メートルぐらい歩いたら、立ち止まって、身体の向きを反対側に変えて引き返します。身体の向きを変えるための個々の動作についても、それぞれ動かす前に動作を意識して、実際の動作の感覚を観察します。

身体の向きを変えたら、また立った姿勢になって、身体と心を観察して、足を動かす意図を確認してから歩き始めます。

3. 歩く瞑想の利点、注意点

3-1. 意識を集中しやすい

歩く瞑想は、動作に意識を集中させるので、意識を集中していることがわかりやすいという利点があります。また、意識が対象から外れたときも、そのことに気が付きやすいです。

歩き始めるとき、心が静まるまで立ち上がった姿勢を続けることによって、マインドレスな状態で瞑想に入るのを防ぐことができます。途中で意識が外れてしまった時も、立ち止まって、心が落ち着くのを待つことも可能です。

3-2. 日常生活での応用

歩く瞑想は、ゆっくりとした速度だけでなく、いろいろな速度で実践することができます。日常生活の中で、通勤や散歩、ジョギングなどでも応用が可能です。

3-3. 視覚が意識をそらしやすい

歩く瞑想の時は、どうしても、視覚が意識をそらす原因になりやすいです。部屋の中で歩く瞑想をするときは、視点を前方の一点に定めてやるのがいいでしょう。

日常生活で歩く瞑想を実践するときには、いろいろなものが視界に入るので、いつの間にか別のことを考えてしまいがちです。だからといって、目をつむったり、伏せたり、視界を制限して歩くのは危険です。

4. まとめ

歩く瞑想は、マインドフルネスヨガのように身体の動作を意識した瞑想なので、意識を集中していることが、わかりやすいという利点があり、日常生活でも活用できるので便利です。その一方で、視覚が意識をそらす原因になりやすいです。

マインドフルネスストレス低減法(MBSR)は、科学的な臨床結果に基づいてカリキュラムが編成されており、歩く瞑想以外にも、座る瞑想、ボディスキャン、マインドフルネスヨガなど様々なマインドフルネス瞑想を取り入れて、効果的にマインドフルネスを学ぶことができます。

日本で、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)を受講可能なコースは下のリンクをご参照ください。

日本で受講可能なマインドフルネスストレス低減法(MBSR)8週間コース

ボディスキャンであなたはどう変わるか?

ボディスキャンとは、身体の各部分の感覚をありのままに観察していく、マインドフルネス瞑想の一つの方法です。マインドフルネスストレス低減法(MBSR) の8週間のプログラムでは、このボディスキャンを最初の週に練習します。

ここでは、ボディスキャンの目的や方法をご案内します。

1. ボディスキャンの目的

多くの人は、自分の身体について、何らかの不満を持っています。例えば、もっと痩せたいとか、もっと健康になりたいとか、もっと若々しい身体でいたい、などです。

一方で、私たちの身体は素晴らしいものです。歩いたり、話したり、人を見分けたり、食べ物を消化したりします。そういうことができなくなって初めて、自分の身体のありがたさに気が付きます。

ボディスキャンの目的は、次のとおりです。

  • 今この瞬間の自分の身体をありのままに観察することによって、自分の身体と仲良しになること。さらに、自分の身体や心に対するやさしい気持ち、好奇心を育てること。
  • さまざまなマインドフル瞑想のために必要な集中力や忍耐力を養うこと。
  • 意識を身体の一点に集中させたり、身体全体に広げたりといった意識の柔軟性を養うこと。

これらは、他のマインドフルネス瞑想の習得やストレスの低減のためのベースとなります。マインドフルネスストレス低減法(MBSR) の8週間のコースでは、まず、ボディスキャンを毎日、45分間、自宅で練習します。

2. ボディスキャンの準備、注意事項

2-1. 場所と時間の確保

ボディスキャンをやるには、まず、自宅で一人だけで、横になれる場所を確保します。布団やベッドのように柔らかすぎると寝てしまうので、カーペットの床やヨガマット、毛布の上がよいでしょう。必要に応じて、頭の下や膝の下にクッションやまくらを置きます。

できるだけ暖かいところでやるのがよいでしょう。途中で寒くなりそうなときは、毛布などをあらかじめ手の届くところに用意しておきます。

2-2. ありのままの感覚を観察

身体の各部分を観察しようとするときに、何も感じない部分があるかもしれません。そのようなときは、「何も感じない」ということを観察します。

感覚を得るために無理に身体を動かしてみる必要はありません。

「もっと鋭い身体感覚を得たい」とか、「何も感覚がないのは許せない」という気持ちが心に現れたら、心はそういう働きをするものなので、まったく問題はないのですが、そのような自分の心を、優しい気持ちと好奇心を持って、観察して、ボディスキャンに戻ります。

2-3. 眠ってしまう時の対策

慣れるまでは、横になってボディスキャンをすると、眠たくなって寝てしまうことがよくあります。

眠ってしまうとボディスキャンの練習にはならないので、できるだけ起きているように努力しましょう。

睡眠不足が原因のときは十分に睡眠をとるようにします。他に、以下の方法を試してみるといいでしょう。

  • 横になる代わりに、椅子に座る、あるいは、立ってボディスキャンを行う。
  • 目を開いてボディスキャンを行う。
  • ひじから先の手を天井の方向に持ち上げて、ボディスキャンを行う。

2-4. いつの間にか別のことを考えている

ボディスキャンの音声ガイダンスを聞いている最中に別のことを考えてしまっていて、気が付いたら、ガイダンスを聞いていなかった、ということもよくあります。

別のことを考えていることに気が付いたときは、マインドフルネスを練習するいいチャンスです。別のことを考えていた自分の心に優しい気持ちと好奇心を持って接し、イライラせずに、ボディスキャンの練習に戻ってきます。音声ガイダンスがその時に指している身体の部分から再開しましょう。

自分の身体の各部分に親しみや興味をもってボディスキャンをすると、ボディスキャンに集中しやすいです。自分でいろいろ工夫してみましょう。

3. ボディスキャンの方法

3-1. 音声ガイダンス

まず、マインドフルネスストレス低減法(MBSR) の講師の音声ガイダンスを聞いて、それに沿って実施するとよいでしょう。慣れたら、音声ガイダンスなしで、やってみます。しげまるによる音声ガイダンスのリンク、下のとおりです。

ボディスキャン 音声ファイルダウンロード

3-2. 姿勢

通常、カーペットやヨガマット、毛布の上に横になって実施します。腰が痛い人は、両足を椅子の上に乗せた姿勢(宇宙飛行士のポーズ)がやりやすいかもしれません。

眠くなってしまう人は、椅子に座って、あるいは、立った姿勢でやっても構いません。

3-3. ボディスキャンの順番

MBSR の講師によって、違いはありますが、概ね、45分間のボディスキャンは、次の順序で行われます。

  1. 身体全体の感覚の観察
  2. 呼吸の観察
  3. 意識を左足の親指に移して、左足の親指の観察、続けて、その他の指、足の裏、かかと、足の甲、足首、脛、ふくらはぎ、膝、太ももをそれぞれ観察。
  4. 意識を広げて、左足全体を観察。
  5. 意識を右足の親指に移して、右足親指の観察。
  6. 左足と同様に右足の各部分と右足全体を観察。
  7. 胴体の各部分と胴体全体を観察。
  8. 両手の各部分と両手の全体を観察。
  9. 頭部の各部分と頭部全体を観察。
  10. 身体全体を観察。

4. まとめ

ボディスキャンは、自分の身体の各部分を観察して、それをありのままに受け入れ、自分自身に対する優しい気持ちを育てるために行います。

ボディスキャンは、他の各種マインドフルネス瞑想の練習のベースとなるものです。ただし、一人だけで独習するのは難しいかもしれません。

ボディスキャンを学び、マインドフルネスを身につけるには、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)の8週間のコースに参加されることをお勧めします。

日本で受けることができるコースは、下のリンクの通りです。

日本で受講可能なマインドフルネスストレス低減法(MBSR) の8週間コース

泳ぐ瞑想

プールで長時間かけて泳ぐのは、よいマインドフル瞑想になるのではないか、と思っていました。ところが、やってみると、実際には難しかったです。

ここでは、私の泳ぐ瞑想の体験を紹介します。

なぜ泳ぐ瞑想をやりたいか

マインドフルネスストレス低減法(MBSR) では、座る瞑想、歩く瞑想、食べる瞑想、ボディスキャンマインドフルネスヨガなど、様々なマインドフルネス瞑想の方法を学びます。

また、これ以外にも、日常生活の中で、マインドフルに五感で感じながら何かをやってみることを勧められます。

私は水泳が好きなので、水泳をしながら瞑想をしたいと以前から思っていました。プールでの長距離水泳は、リラックスした姿勢で同じ動作を繰り返すので、瞑想に適しているのではないか、と思います。泳いでいる間は他にやることもないですし。

以前に、長距離水泳をしている時、泳ぐ瞑想を試した時期がありましたが、どうしてもうまくいきませんでした。その後、肩を痛めてしまって、しばらく水泳は控えていました。

その後、肩の調子がよくなったので、また、泳ぐ瞑想を試しています。

泳ぐ瞑想が難しい理由

視覚の影響

クロールで泳いでいると、ほとんどの時間はプールの底の模様やラインを見ているのですが、息継ぎをしたり、ターンをしたりするたびに隣のコースの様子やプールサイドの様子が一瞬、視界に入ります。

この時にいろいろな雑念が巻き起こります。特に人の様子が目にはいると、顕著です。

隣のコースの人は私よりも早いか遅いかとか、プールサイドで歩いている人は何をしようとしているのか等、一瞬の間にいろいろなことが頭の中に浮かんできます。

泳ぐ瞑想が難しい一つの理由は、このように、視界が高速で動くことだと思います。また、途中で立ち止まることができないので、雑念が去るのを待つというのが難しいです。

歩く瞑想の場合は、このように視界が高速で動くこともありませんし、雑念が起これば立ち止まって、心が静まるのを待つこともできるのです。

身体をゆっくり動かすことが難しい

歩く瞑想やマインドフルネスヨガでは、ゆっくりと身体を動かすことでその感覚を観察することができます。

ところが、水泳、特にクロールで泳いでいる時は、ある程度のスピードで泳がないと身体が沈んできますし、息継ぎがうまくできません。

泳ぐ瞑想をするときに、身体の感覚を観察から始めようと思っても、そういう事情でなかなかうまくいきません。

呼吸の観察が難しい

私は、座る瞑想をしている時には、呼吸をお腹の筋肉の収縮で観察するようにしています。ところが、泳ぐときには、これが難しいです。胸やお腹の筋肉は泳ぐための運動に使われているからだと思います。

クロールで泳いでいる時は、水中で鼻の穴からブクブクと呼吸をはいて、直後の息継ぎの一瞬で口から息を吸い込みます。

この鼻の穴からブクブク息を吐いている時が、クロールで泳いでいる時に呼吸を観察するよい機会です。

  • ブクブクの直前: これからブクブク息をはくぞ、という意識を持つ
  • ブクブクの最中: ブクブクの感覚を細かく観察する

私の泳ぐ瞑想のやり方

試行錯誤の結果、今は次のやり方で泳ぐ瞑想をやっています。

  1. まず、水泳の前に、肩や腰、膝をマインドフルにゆっくり動かして身体の調子を観察します。もし、調子が悪いようなら、水中歩行に切り替えます。調子が良ければ、まず、ケノビの練習を往復(50メートル)やります。
  2. 50メートルを60秒のペースで、30-45分間クロールで泳ぎます。途中で肩が少しでも痛くなってきたら、すぐに中止します。
  3. 最初にプールの壁を蹴って、ケノビをしている間に、瞑想をする意志を確認します。以後、ターンして、ケノビをするたびに、瞑想をしていることを忘れていたら思い出し、瞑想の意志を確認します。
  4. キックはツービートで、呼吸時の顔の向きは、右、右、左、左、を繰り返します。これは、肩の負担を左右で分散するためです。途中で息継ぎのリズムが変わるので、マンネリを防ぐこともできます。
  5. 泳ぎ始めて最初の10分は、呼吸に意識を集中します。鼻からブクブクと息を吐く直前にこれから息を吐くことを意識します。さらに、息を吐きながら鼻の感覚を観察します。
  6. 呼吸で顔を上げるときやターンの時には、できるだけプールサイドを見ないようにします。
  7. 雑念が起こったことに気が付いたら、次の呼吸で「今、ここ」に戻ります。
  8. 心が安定してきたら、意識を広げて、身体全体の感覚を観察します。手と足の筋肉の動きを観察し、身体全体の体毛で水流を観察します。さらに意識を広げて、心の中に沸き起こる考えや感情、聞こえてくる音も意識の中に含めます。

まとめ

私の場合、鼻からブクブクと息を吐く前に、「これからブクブクと吐くぞ」ということを意識することで、泳ぐ瞑想のきっかけをつかむことができました。

この泳ぐ瞑想の練習をすると、とても短い時間に雑念が数多く起こっていることに気づきます。

泳ぐ瞑想を長時間続けるのは難しいと思いますが、マインドフルネスをある程度習得していると、やりやすくなるかもしれません。マインドフルネスの習得には、マインドフルネスストレス低減法(MBSR) の8週間のコースに参加されることをお勧めします。

日本で参加可能なマインドフルネスストレス低減法のコース