仕事ストレスに対処するための19のヒント

仕事のストレスに悩んでいる人は少なくありません。マインドフルネスの観点から、仕事ストレスには、どのように対処すればいいでしょうか?

仕事ストレスとは

今のストレスレベルをチェック

仕事のストレスのレベルは、厚生労働省の5分でできる職場のストレスチェックで、簡単な質問にこたえることによって、調べることができます。ストレスから眠れなくなったり、病気を引き起こしたりすることもあります。自分のストレスのレベルは、時々チェックして把握しておくとよいでしょう。

仕事があってもなくても

ほとんどの人は、お金を得るために、時にはいやでも、仕事をしなければなりません。仕事のことで何らかのストレスを感じているものです。

その一方で、仕事は、私たちが社会とのつながりを保ち、社会に貢献するための手段でもあります。仕事がないことも、ストレスになります。

たとえば、病気やけがのために働くことができない人は、仕事ができるようになるのなら何を差し出してもいい、どんな仕事でもいいからやりたい、と思うかもしれません。

失業のために働くことができない人とその家族には、大変なストレスがかかることでしょう。

どんな仕事でもストレスがある

世の中には、きつい仕事、危険な仕事、健康に悪い仕事もあります。決められたことだけをやって、しかも、間違いが許されないような仕事は、心臓病になる率が高いそうです。

その一方で、自分でコントロールできて、給料が良くて、自分が好きな仕事であっても、何かしらの困難に直面するものです。市場の変化や景気、政府の規制など、実は、コントロールできないことはたくさんあります。

すべての物事は変化していきます。安定しているように見える仕事でも、例外ではありません。どのような仕事をしていても、邪魔する人が出てきます。様々な理由で仕事を失う危機に直面することもあるでしょう。これは、派遣社員でも、正社員でも、弁護士でも、医者でも、警察官でも、政治家でも同じことです。

どんな仕事でも、ストレスはつきものなのです。

仕事ストレスへの対処

ストレスに満ちた仕事や職場の環境にどのように影響されるかは、あなたのストレスへの対処の方法により変わります。

言い換えると、ストレスに直面した時、たとえば、上司や同僚との問題が発生したり、困難な状況や絶望的な状況に出会ったりした瞬間に、あなたがどのような態度をとれるか、によります。

リフレッシュする手段を持とう

やりがいのある仕事をしていても、ストレスで燃え尽きてしまう人がいます。現代の社会では、多くの職場で、今よりももっと成果を出すことが常に求められて、そのために努力することが強いられるからです。パソコンやスマートフォンが普及した今の時代では、このような傾向が顕著になってきています。

ジャーナリストとして成功したトニー・シュウォーツがニューヨークタイムズに書いた記事によると、

「皮肉なことに、もっと多くの仕事をこなすための最良の方法は、仕事をせずにリフレッシュをすることだ。たとえば、昼間にジムに行くとか、短い時間昼寝するとか、睡眠をきちんととるとか、オフィスにいる時間を短くするとか、もっと休暇をたくさん取るとか。そうすれば、生産性も上がり、仕事のパフォーマンスも健康も向上する。」

仕事をしている人は、リフレッシュするため、自分独自のストレス解消法を持つべきです。

そのためには、「今、ここ」で自分の身体に起こっていること、周囲で起こっていることを観察できている必要があります。そうでないと、リフレッシュしようという考えも起きないかもしれません。

マインドフルネス瞑想を仕事に取り込む

仕事のストレスと向き合うために、試しに、マインドフル瞑想を仕事に持ち込んではどうでしょうか?

困難に直面した時、あるいは、難しい仕事をするとき、「今、ここ」でやっていることを認識します。

また、自分の心に浮かんでくる考えや感情に気が付き、自分の意志で「今、ここ」でやっている仕事の具体的な作業の認識に戻ります。

これを続けることによって、自分の自動的な思考や感情が、いつの間にか、自分の可能性に枠をはめていることに気が付くかもしれません。

たとえば、仕事を辞めようと考えているのであれば、かならずしも今の仕事を辞める必要はないことに気づくもしれません。

同じ仕事を継続してやっていると、「毎日が新しい一日で、冒険に満ちていている」ことを忘れてしまうことがあります。その結果、技術革新に遅れ、仕事環境の変化を嫌い、職場に入ってくる新しいアイデアやルール、新しい人を恐れるようになるかもしれません。

マインドフルネスを仕事に持ち込むことによって、「一瞬、一瞬が新しく、毎日が冒険に満ちている」ことに気が付くことでしょう。また、仕事が、やらされていることではなくて、自分が選んでやっている、という意識を持つことができることでしょう。

将来、仕事や職場の環境に大きな変化があった時にも、より落ち着いた対応ができると思います。

仕事のストレスにマインドフルに対処するための19のヒント

  1. 朝起きた時、少し時間を取って、自分で選んで仕事に行くのだ、ということを確認する。その日の仕事の予定を確認し、予定通りにいくとは限らないことを認識する。
  2. 出勤の支度をマインドフルに行う。シャワーを浴びたり、服を着たり、朝食を取ったり、家族に挨拶したりする間、五感を使って観察する。時々呼吸や体の感覚を観察する。
  3. 家を出るときには、家族に気持ちを込めて「いってきます」と声をかける。家族と顔を合わせる機会がない場合は、できれば、気持ちを込めたメモを残す。
  4. 通勤途中も、歩いたり、ホームや電車で立ったりしているとき、あるいは車で運転している最中、マインドフルに過ごす。職場に到着したら、自分の呼吸を観察し、笑顔で職場に入る。
  5. 仕事中、時々、身体の感覚を観察する。肩や顔、手、背中に緊張があるときには、姿勢を正して、呼吸を観察し、緊張を取る。
  6. 仕事中、移動する必要があるときには、マインドフルに歩く。どうしても走る必要があるときには、マインドフルに走る。
  7. 仕事中は、一つのことに集中する。仕事に集中している時は、電子メールなどをできるだけ見ない。同時にいくつものことをやろうとすると、かえって効率が落ちるという研究がある。
  8. 時々、休憩を取ってリラックスする。コーヒーを飲んだり煙草を吸うより、できれば3分間外に出て、マインドフルに歩いたり、立ったり、呼吸したりする。あるいは、机で肩や首のストレッチを行う。(マインドフルネスヨガのポーズを参照)
  9. 休憩時間や昼食時間を気の合う仲間と過ごす。あるいは、一人で過ごす。週に1・2回、マインドフルに沈黙して昼食を取るのもよい。
  10. もし可能なら、昼食時外出し、運動する。運動はストレスを減らす。
  11. 1時間に1回ぐらい、立ち止まって呼吸を観察する。この短い瞑想によって、「今、ここ」に意識を戻す。ただし、このことを仕事中に思い出すのは難しい。
  12. 職場では、様々なことをきっかけにして、自分の身体や呼吸に意識を集中し、リラックスする。たとえば、電話の音、ミーティングの準備をしている時、だれかを待っている時など。ぼうっとしているのではなくて、意識を集中することでリラックスする。
  13. 仕事中、マインドフルなコミュニケーションを心掛ける。特に、自分に対して無関心な人、敵意を持っている人と、どうすれば関係が改善できるか考える。彼らの考えていること、やりたいことは何か、どうやったら自分がサポートできるかを考える。
  14. 一日の仕事の終わりに、今日やったことと明日やることを振り返る。重要な仕事に優先度をつける。
  15. 職場を出て家に戻るとき、マインドフルに呼吸して歩く。自分の身体の様子や顔の表情を意識する。心が「今、ここ」に向いているかどうか確認する。
  16. 仕事帰りの途中、できるだけマインドフルに過ごす。スマートフォンなどは極力見ない。
  17. 帰宅したとき、家のドアを開ける前に「帰宅」モードに備える。家族に目を合わせて「ただいま」という。
  18. 帰宅したら、すぐに服を着替える。自分の役割を、仕事から別のものに切り替える。必要なら、この切り替えのために、5分程度時間を取る。
  19. 瞑想は、日常生活の瞬間、瞬間で実現するもの。どのようなことをやっていても、「今、ここ」に意識を向ければ、マインドフルネス瞑想になりうることを心に留めておく。

科学的な根拠

アメリカ国立衛生研究所の資料によると、8週間のマインドフルネスストレス低減法プログラム(MBSR) が中間管理職の仕事に関連するストレスを軽減する効果があるかどうか、144人の被験者に対して、ランダム化比較試験を実施して調べたところ、大きな効果が認められたとのことです。

この資料では、8週間のMBSRコースが、仕事に関するストレスを低減し、職場における心理的な適応力を強める効果があると、結論づけています。

まとめ

どのような仕事を持っていても、仕事のストレスがあります。

マインドフルネス瞑想を仕事に取り込むことによって、ストレスを減らすことができます。

マインドフルネスを効率的に身につけるには、8週間のマインドフルネスストレス低減法(MBSR)のコースに参加されることをお勧めします。


出典:
Kabat-Zinn, J. 2013 Full Catastrophe Living