マインドフルネス瞑想のやり方

ここでは、様々なマインドフルネス瞑想のやり方を説明します。いずれも、マインドフルネスストレス低減法 (MBSR) で取り入れられているものです。

マインドフルネスの入り口として、この中で自分に合った方法を試してみてはいかがでしょうか?

1. 食べる瞑想

食べる瞑想は、マインドフルネスストレス低減法のコースの最初のクラスで練習します。この瞑想の目的は、五感を使って食べ物を観察することによって、「今、ここ」で起こっていることに気付くことです。やり方、以下の通りです。

  1. まず、干しブドウか、それに類する小さな食べ物を2粒、用意します。
  2. 一粒目を手に取って、自分の目でできるだけ詳しく観察します。時間をかけて、まるで、「火星人が地球にやってきて初めて干しブドウを見る時のように」、干しブドウを新鮮な気持ちで、初めて見る物体として扱います。表面のしわとか、色とか、光の反射具合とか、できるだけ詳しく観察します。
  3. 次に、指で触った感覚を観察し、耳の近くにもっていって音を観察します。音は聞こえないですが、耳の近くに持ってきて指で転がすと、かすかに音がします。
  4. さらに、においをかいで、唇に乗せて、口の中に入れて、歯の間に乗せて、噛んで、飲み込みます。このそれぞれの過程で、時間をかけて、五感で感じることを、できるだけ詳しく観察します。
  5. 途中で、心の中に、「なんで私こんなことをやっているのだろう」とか、「早く食べてしまいたい」とか、「もっと食べたい」とか、いろいろな考えが起こってきたら、自分の心にそのような考えや感情が起こっていることに気が付いて、自分の意思で「物体」の観察に戻ります。
  6. 残ったもう一粒も同じ要領で観察します。

ここまでの進め方をビデオにしたものがありますので、ご参照ください。

食べる瞑想は、普通に食事をするときにも、実践できます。干しブドウの要領でやると、時間がいくらあっても足りませんので、最初の一口、二口だけ実践するといいでしょう。食事のたびにマインドフルネスの練習ができます。

これを日々実践すれば、食事がとてもおいしく感じられるようになります。

また、自分の食べ物に関する欲求がどのようなものかわかってきます。

たとえば、食べ物を見たり、においをかいだりしただけで、早く口に入れたいという欲求がわいてきます。また、少し食べ物を口に入れただけで、もっとたくさん口に入れたいという欲求がわいてきます。ストレスを抱えている時は、このような欲求が特に強くなります。

普段、私たちは、無意識のうちに、このような食べ物の欲求の影響を受けています。

食べ物に関する欲求をありのままに観察する習慣をつけると、無意識のうちに食欲の影響を受けて食べ過ぎたり、不健康なものを食べることを防ぐことができるようになってきます。

この食べ物の欲求を観察するときのコツは、そのような欲求があることを客観的に観察して、そのことで自分を責めたりしないことです。食べ物に関する欲求も進化に由来するものです。自分に対する優しい気持ちと好奇心を持ちましょう。

2. ボディスキャン

ボディスキャンは、自分の身体のそれぞれの部分の感覚を順番に観察し、最後に身体全体の感覚を観察する瞑想方法です。この瞑想も、自分の身体の感覚を観察することにより、「今、ここ」で起こっていることに気付くことを目的とします。

  1. まず、仰向けに横になって、身体全体の感覚を観察し、手をお腹において、お腹で呼吸を観察します。
  2. 次に、意識をお腹の呼吸から、身体の中を通って、左足の親指に移します。
  3. 自分の左足の親指、その他の指、足の裏、かかと、足の甲、足首、脛、ふくらはぎ、太もも、といった具合に、左足の各部分の感覚をありのままに観察します。
  4. 何も感じなければ、何も感じないことを観察します。途中で、別のことを考えて観察をしていないことに気が付いたら、自分の意志で、身体の観察に戻ります。
  5. 左足の太ももまで来たら、一旦意識を広げて、左足全体の感覚を観察します。そして、また、意識を絞って、左足の太ももに戻します。
  6. 同じように、身体の細かい各部分を観察したあと、意識を広げてまとまった部分全体を観察します。左足に続けて、右足、胴体、両手、頭を観察します。
  7. 頭から、さらに意識を広げて、身体全体の感覚を観察します。

具体的なやり方は、下のビデオご参照ください。

ボディスキャンの瞑想練習では、ほとんどの人が途中で眠くなってしまいます。自分もそうでした。この練習は集中力と忍耐力を鍛える練習でもあると思います。

自分の場合は、自分の身体の各部分を昔からの友達だと思って、ボディスキャンの時に身体の各部分に会いに行く意識を持つようにすると、眠くなりにくいです。各自、どうすれば眠らずに最後までできるか、工夫していただければと思います。

眠らずに意識を集中したままでボディスキャンの最後までいくと、とても気持ちいいです。ただし、気持ちよくなろうと思ってボディスキャンをやると、そんな意識が観察を邪魔してうまくいかなかったりします。

3. 座る瞑想

マインドフルネスストレス低減法(MBSR) では、8週間のコースの中で、まず座り方から学び、呼吸の観察、身体の感覚の観察を練習して、最終的には、何も選択しない瞑想の練習をします。

3-1. 座り方

マインドフルネスストレス低減法 (MBSR) では、座る瞑想をする場合、椅子に座っても、床に座ってもかまいません。具体的な方法、以下のとおりです。

3-1-1. 椅子に座る場合

  1. 椅子に座った時に、両ひざの位置が腰骨の位置と同じか、低い位置にあるような姿勢をとります。足の裏が床につかない時は、足の下にクッションなどを敷きます。
  2. もし背中が痛ければ、背もたれに、もたれていただいて結構です。そうでなければ、椅子のやや前の方に、背筋を伸ばして座ります。
  3. 背筋を伸ばして座ると、背骨の下のほうがやや前方に湾曲します。この自然な湾曲を意識します。その方が長い時間座れるようになります。
  4. 肩と腕の力は抜いて、手は、膝の上か、太ももの上に自然に置くか、手を組みます。頭は胴体の上でバランスよく安定するところに置きます。頭のてっぺんが天井から釣られているイメージを持ちます。

3-1-2. 床に座るとき

床に座るときの基本姿勢は、椅子に座るときと同じです。

  1. 腰骨が膝と同じか、より高い位置にあるように調整します。座骨の下に座布団やクッションを敷くとよいでしょう。
  2. 足の組み方は、結跏趺坐、半跏趺坐、正座、安楽座などがありますが、自分にあったものを選びます。膝が痛い人は、結跏趺坐や正座は避けたほうがいいでしょう。大き目のクッションの上にまたがって、脛と足の甲を床につける姿勢でも構いません。
  3. 背筋を伸ばして座ると、背骨の下のほうがやや前方に湾曲します。この自然な湾曲を意識します。その方が長い時間座れるようになります。
  4. 肩と腕の力は抜いて、手は、膝の上か、太ももの上に自然に置くか、手を組みます。頭は胴体の上でバランスよく安定するところに置きます。頭のてっぺんが天井から釣られているイメージを持ちます。

下のビデオの説明も併せてご参照ください。ビデオは、呼吸を観察する瞑想を含みます。

3-2. 呼吸を観察する瞑想

座る瞑想にはいろいろなバージョンがあるのですが、まず、呼吸を意識した瞑想から練習します。

呼吸はマインドフル瞑想のとても便利な道具です。いつでも、どこにいても、呼吸を観察することによって、「今、ここ」に意識を向けることができます。呼吸の観察は、すべてのマインドフル瞑想の基本になるものです。

また、呼吸の観察に慣れておくと、日常生活においても、呼吸を観察することによって、いつでも、心を落ち着かせることができるようになります。

やり方は、次のとおりです。

  1. 椅子、または、床に座って姿勢を正します。
  2. 自分の呼吸を一番感じるところ、たとえば、鼻とか胸とかお腹などを探して、その部分の感覚で呼吸を観察します。
  3. 呼吸の流れを、下のように一つ一つ、できるだけ詳しく観察していきます。たとえば、
    ・・・⇒ 吸う息の始まり ⇒ その続き ⇒ 吸う息の終わり ⇒ 吸う息と吐く息の間の微妙なポーズ ⇒ 吐く息の始まり ⇒ その続き ⇒ 吐く息の終わり ⇒ 吐く息と吸う息の間の微妙なポーズ ⇒ 吸う息の始まり・・・
  4. 瞑想の途中で呼吸を変えことを考える必要はありません。呼吸について考えるのではなくて、今の呼吸をありのままに観察します。
  5. 途中で、いつの間にか呼吸から注意が逸れて、別のことを考えていることに気が付いたら、そのような自分の心にやさしい気持ちと好奇心を持って接して、自分の意志で、呼吸に注意を戻します。瞑想中、何度でもこれを繰り返します。この繰り返しがマインドフルネスの練習になります。

3-3. 身体全体を観察する瞑想

呼吸を身体の1か所で観察する瞑想を続けてできるようになってきたら、次に、意識を広げて、呼吸をする身体全体の感覚を観察します。

ボディスキャンで、意識を身体の一点に集めたり、全体に広げたりする練習をしていると、比較的やりやすいと思います。

3-4. 音を観察する瞑想

次に、身体全体の感覚から、今聞こえている音に意識を移します。

身体の中から聞こえてくる音、部屋の中から聞こえてくる音、部屋の外から聞こえてくる音、音の強さや高さ、リズム、音色など、ここでもできるだけ詳しく観察します。

音の意味を考えるのではなくて、音自体を現象として観察します。

音が聞こえると、心が素早く動いて何の音なのか考えたり、ラベルをはったりしますが、そのような自分の心の働きにも気が付きます。そうして、また、音に注意を戻します。

3-5. 今の考え、感情を観察する瞑想

次に、心の中に起こる「考え」や「感情」を観察します。

自分の心の中に沸き起こる、いろいろな「考え」も、他の瞑想対象のように、心で起こっている現象、出来事として観察することができます。過去の記憶とか、人の顔とか、明日の仕事の段取りとか、いろいろな「考え」が心に発生して、それが続いて、やがて消えていく様を観察します。

心に浮かぶ「考え」に伴って、怒り、悲しみ、喜びといった感情が心の中に現れることがあります。このような感情も、心で起こる現象として観察します。

考えや感情を観察していると、いつの間にか考えや感情に巻き込まれてしまって、自分が観察していないことに気が付くかもしれません。そのようなときは、そのような自分の心に優しい気持ちで接して、また、考えや感情の観察に戻ります。

心が乱れて考えや感情の観察が難しいと感じたら、一旦、呼吸の観察に戻ります。心を落ち着けてから、考えや感情の観察に戻ります。

3-6. 何も選択しない瞑想

次に、意識を広げていって、呼吸、身体全体の感覚、音、考えや感覚といった、自分が今体験していることをすべて意識に含め、観察します。

この瞑想では大空のたとえ話がよく用いられます。雲が大空を通り抜けて行っても、大空はそれを追いかけたり、つかまえたりしません。自分が大空になったような気持ちで、いろいろな体験、たとえば、呼吸、身体感覚、音、考え、感情などが起こっては消えていくのを観察します。この瞑想は、「何も選択しない瞑想 (Choice-less Awareness) 」と呼ばれます。

4. マインドフルネス・ヨガ

マインドフルネス・ヨガは、身体を鍛えたり、柔軟にしたりということよりも、ヨガのポーズをとりながら、身体の感覚をありのままに観察することを通じて「今、ここ」に意識を集中することを目指します。

このため、だれでも実践できる、最も簡単なハタ・ヨガのポーズが採用されています。

マインドフルネスストレス低減法 (MBSR)では、以下の2つのシークエンスが用意されています。

4-1. 横になった姿勢のヨガ

4-2. 立った姿勢のヨガ

5. 歩く瞑想

歩く瞑想(歩行瞑想)は、マインドフルネス瞑想の方法の一つです。歩くときの身体の感覚を観察することにより、意識を「今、ここ」に向けていきます。

意識が「今、ここ」から離れてしまった時には、自分の考えや感情を観察して意識を「今、ここ」に戻すまで、身体の動きを止めておくことができます。

また、歩く瞑想を身につけると、出勤や通学の途中でも気軽に瞑想を行うことができます。

ビデオガイダンス(歩く瞑想の練習)

音声ガイダンス (歩く瞑想の練習)

詳細は、歩く瞑想の紹介ページをご参照ください。

6. 慈悲の瞑想

慈悲の瞑想では、自分自身へのやさしい気持ちを思い描いて、それを自分の身近な人、苦手は人、さらに、すべての生きとし生けるものに広げていきます。

これによって、自分自身と他者に対する優しい気持ちと好奇心を育てていきます。これがマインドフルネスの習得に役立ちます。

詳細は、慈悲の瞑想についてのページをご参照ください。

音声ガイダンス(慈悲の瞑想)

7. 山の瞑想

山の瞑想は、座っている自分を山に見立てて、風が吹こうが、嵐が来ようが、人に褒められようが、けなされようが、何があっても動じない様子を心に思い描く瞑想です。ストレスフルな状況でも、動じない心を育てます。

8. まとめ

ここでは様々なマインドフルネス瞑想の方法を紹介しましたが、ひとりで練習して習得するのは、なかなか難しいと思います。

これらのマインドフルネス瞑想を効果的に習得するには、8週間のマインドフルネスストレス低減法 (MBSR)のプログラムに参加されることをお勧めします。

このプログラムは、マサチューセッツ大学医学部でジョン・カバットジン博士が科学的な知見に基づいて、肉体的、精神的なストレスを低減するために開発したものです。

日本で参加可能なコースは、下のリンクをご参照ください。

日本で参加可能なマインドフルネスストレス低減法(MBSR)8週間コース