眠れない時のマインドフルネス

夜、眠りたいのに眠れないのはつらいものです。ここでは眠れない原因とその対策、特にマインドフルネス瞑想による対策を説明します。

1. 眠れない原因と対処法

1-1. ストレス

不眠の原因の一つはストレスです。

日中に何か大きなストレスがあると、寝ている間にいろいろな考えや感情が堂々巡りで心に浮かんできます。

次の日に大事な仕事があるからと心に言い聞かせても、言うことを聞いてくれません。寝ようとすればするほど、緊張と不安が増えて、いよいよ眠れなくなります。

こういう時は、寝る前にマインドフルネス瞑想、特に「座る瞑想」を20分から40分程度実践する習慣をつけるとよいでしょう。

「座る瞑想」では、椅子や床に置いたクッションの上に座って、呼吸、身体の感覚、音、考えや感情を順番に観察し、最後に「何も選択しない瞑想」を行います。これを寝る前に実践すると、私の場合、とても寝付きがよくなります。

1-2. 生活習慣

夜眠れないのは、生活習慣の改善を促す身体からのメッセージかもしれません。次のような生活習慣の改善を実施することで眠れるようになることがあります。

  • 毎朝同じ時間に起きて日の光を浴びる。
  • 定期的に運動を行う。
  • 就寝前の飲食、アルコール、カフェインを控える。
  • 寝床にスマートフォンを持ち込まない。

1-3. 寝すぎ

一晩に眠れる時間は、年を取るとともに減ってきます。厚生労働省の指針によると、25歳で約7時間、45歳で6.5時間、65歳で6時間だそうです。寝床に入っている時間が長すぎるとかえって眠れないこともあります。

1-4. 病気

不眠症が続く場合は何かの病気にかかっているかもしれません。痛みやかゆみのせいで眠れない、夜中に咳が止まらない、呼吸が苦しい、身体がほてるといった症状があって眠れない場合は、専門の医師の診断を受けることを検討しましょう。

2. 寝床で眠れない時

夜中に目が覚めて眠れない時には、寝床でどうすればよいでしょう?

頑張って眠ろうとしても眠れません。こういう時は、寝る努力をするのをあきらめて、マインドフルネス瞑想をしてはどうでしょうか?

2-1. ボディスキャン

たとえば、寝床に入ったまま、ボディスキャンをやってみるといいでしょう。

ボディスキャンは、マインドフルネス瞑想の一つです。仰向けで横になって、身体の各部分を細かく観察していきます。

ボディスキャンの練習中は、できるだけ寝ないように講師からガイダンスされますが、多くの人が途中で寝てしまいます。

マインドフルネスストレス低減法(MBSR) を長年指導してきたジョン・カバットジン博士によると、プログラムの参加者で不眠に悩む人に、毎日の練習に加えて、寝床でボディスキャンの録音を聞くように勧めたところ、大きな効果があったそうです。

2-2. 呼吸を観察する

カバットジン博士によると、寝床で呼吸を観察すると、同じような入眠の効果があるそうです。

私も、夜中に目が覚めて眠れなくなった時は、呼吸を観察するようにしています。寝床で呼吸を観察するには、次の要領でやるといいでしょう。

  1. まず、寝床で自分が眠れないでいることを率直に認める。
  2. 身体中の力を抜く。特に顔の筋肉の力を抜く。
  3. 鼻、胸、腹部など、どこか特定の場所を決めて、その場所の感覚で呼吸を観察する。吸う息の始まり、続き、終わり、ポーズ、吐く息の始まり、続き、終わり、ポーズ、と呼吸の各プロセスをできるだけ細かく観察する。
  4. 途中で、心が呼吸から離れて何か別のことを考えていたら、そのことに気が付いて、そのような自分の 心に優しい気持ちと好奇心で接し、自分の意志で呼吸の観察に戻る。これを繰り返す。

私の経験だと、これを始めるといつの間にか、眠ってしまうことが多いです。眠れないとしても、マインドフルネスの練習になるので、無駄な時間を過ごした感じがしません。

2-3. 寝床から出て瞑想をする

カバットジン博士は、心が高ぶっている場合は、寝床から出て、座る瞑想や歩く瞑想を30分くらいやってみることを勧めています。そうすれば、心が落ち着いて眠りやすくなるとのことです。

3. なぜマインドフルネス瞑想が不眠に効果があるのか

眠れない時は、いろいろな考えが次々に頭の中に浮かんできます。そのことが無意識のうちに、次の考えを生み出す悪循環になっています。

マインドフルネス瞑想では、今この瞬間の身体の感覚や心の中に生じる考えや感情を観察します。これによって、無意識の思考の連鎖を止めることができます。

そうすると、眠ろうと頑張らなくても、眠気の方が向こうからやってきます。

4. 科学的な根拠

アメリカ国立衛生研究所の資料によると、デンマークにおいて、乳がん手術後の不眠で悩む336人に対して、ランダム化比較試験を行い、マインドフルネスストレス低減法(MBSR) の8週間のコースに参加した168人と、そうでない168人とを比べたそうです。

そうすると、コースに参加した人は、そうでない人と比べると、睡眠の質に関する問題が大幅に改善し、コース参加の12か月後でもこの傾向は変わらなかったとのことです。

この資料では、MBSRのコースは、統計的に、睡眠の質の改善に関する大きな効果があると認めています。詳細は下のリンクをご参照ください。

睡眠の質に関するMBSRの効果:デンマークの乳がん患者へのランダム化試験の結果

5. まとめ

眠れないときには、ボディスキャンや呼吸の観察など、マインドフルネス瞑想を試してみるとよいでしょう。

マインドフルネス瞑想を効果的に練習するためには、マインドフルネスストレス低減法(MBSR) の8週間コースに参加することをお勧めします。日本で参加可能なコースは、下のリンクをご参照ください。

日本で受講可能なマインドフルネスストレス低減法(MBSR) の8週間コース