MBSR無料オリエンテーション開催します

MBSR無料オリエンテーション

マインドフルネスストレス低減法(MBSR) の8週間のコースに関する無料のオリエンテーションを開催します。

MBSR 8週間コースへの参加をご検討中の方、または、MBSRに興味のある方、ご参加をお待ちしております。

この無料オリエンテーションに参加して、MBSR 8週間コースに参加するかどうか、判断していただければと思います。

無料オリエンテーションでは、MBSRの概要について説明したのち、椅子に座ったままで簡単なマインドフルネス瞑想の練習を行います。まったく瞑想の経験がない方でもお気軽にご参加ください。

参加ご希望の方は、下のリンクから申し込みをお願いします。3回開催しますので、このうち、どれか1回を選んでご参加ください。

 

マインドフルネスストレス低減法 (MBSR) は、マサチューセッツ大学医学部でジョン・カバットジン博士が開発した、マインドフルネス瞑想を通じてストレスを軽減するためのプログラムです。これまで、24000人以上が参加されてきました。数々の臨床研究で、その有効性が確認されています。

MBSR無料オリエンテーション #1

  • 日時:2017年12月6日 19:00-20:00
  • 場所:オンラインによるビデオ会議 (Zoomを使用します)
  • 料金:無料
  • 参加申し込み:こちらのイベントページからお申し込みください。

MBSR無料オリエンテーション #2

MBSR無料オリエンテーション #3

MBSR 8週間コース

MBSR 8週間コースは、有料の8週間のコースです。次回、以下の日程と場所で開催を予定しております。ご参加される方は、上記の無料オリエンテーションのいずれかにご参加いただくようにお願いします。

  • 日時:
    • 第1週クラス: 2018年1月17日 (水) 19:00-22:00
    • 第2週クラス: 2018年1月24日 (水) 19:00-21:30
    • 第3週クラス: 2018年1月31日 (水) 19:00-21:30
    • 第4週クラス: 2018年2月 7日 (水) 19:00-21:30
    • 第5週クラス: 2018年2月14日 (水) 19:00-21:30
    • 第6週クラス: 2018年2月21日 (水) 19:00-21:30
    • 全日クラス : 2018年2月25日 (日)  9:00-16:30
    • 第7週クラス: 2018年2月28日 (水) 19:00-21:30
    • 第8週クラス: 2018年3月 7日 (水) 19:00-22:00
  • 場所:東京都港区三田2-14-8ハロー会議室・田町2F
  • 料金: 3万円 (消費税込み) ただし、2017年12月15日までにお申し込みいただいた場合は、早期割引2万円(消費税込み)で受講できます。
  • 申し込み方法: こちらのリンクからお申し込みください。

マインドフルネスの資格

マインドフルネス資格

マインドフルネス資格としてのMBSR講師

マインドフルネスが今日のように世界中に広がったきっかけは、ジョン・カバットジン博士がマサチューセッツ大学医学部でマインドフルネスストレス低減法 (MBSR) を始めて、これが広く受け入れられたことでした。

このマインドフルネスストレス低減法(MBSR) は、ストレスを低減するための8週間のプログラムです。仏教やヨガのマインドフルネスの考え方をもとにしていながら、科学的な臨床研究でこの効果が裏付けられているのが特徴です。これまで世界中で24000人以上の人が受講しました。

MBSRは、精神的なストレスや疼痛などの身体的なストレスを低減するというだけではなく、様々なマインドフルネス瞑想の手法を学ぶことを通じて、初心者がマインドフルネスの習慣を身につけるためにも効果的です。また、マインドフルネスをすでに実践している人にとっても、マインドフルネスの考え方や方法を学ぶよい機会だと思います。

マインドフルネスをさらに深めるために、あるいは、将来のキャリアのために、マインドフルネスに関する資格の取得を目指している人にとって、MBSRコースの講師の資格は魅力的だと思います。別に、資格を取るためにマインドフルネスを実践するわけでなくても、この資格を取るための道のりを歩むこと、そのハードルを越えていくことがマインドフルネスを深めることにもなるからです。

マインドフルネスを深めるための道として、出家して僧侶になる、という方法もありますが、これは便利な生活に慣れた現代人にとってハードルが高いですし、宗教的な伝統になじめない人もいるでしょう。これと比べると、MBSR講師は、選択しやすい道だと思います。

MBSR講師への道

マインドフルネスストレス低減法 (MBSR) の講師として、8週間のMBSR コースを運営するには、マサチューセッツ大学医学部マインドフルネスセンターで、講師としてのトレーニングを受ける必要があります。

この講師向けトレーニングコースのほとんどは、米国で英語により実施されていますが、これまで中国やスペインなどでも通訳付きで開催されてきました。将来、日本でも開催されるかもしれません。

大まかな流れとして、

  • MBSR Fundamentals(SR-401)
  • MBSR Practice Teaching Initiative (SR-402)

の2つのコースの受講を完了すれば、MBSR Qualified Teacher として、8週間のMBSR コースを運営する資格を得ます。それぞれのコースを受講するにあたって、前提条件がいくつかあります。たとえば、MBSR Fundamentals(SR-401) に参加する前提条件は、以下のとおりです。

  • 8週間のMBSRコースに参加した経験があること(オンラインのものはマインドフルネスセンターが実施するものしか認められない)
  • 5日間以上のリトリートに参加した経験が1回あること(リトリートは、マインドフルネスセンターが指定したものしか認められない)
  • 1年以上、瞑想を継続して実践していること
  • MBSR Body and Medicine (DM-100) を修了していること:これは、2019年1月から加わる前提条件

MBSR Fundamentals (SR-401) には、8週間マサチューセッツ大学マインドフルネスセンターに通うコース (SR-401-8W) と9日間の合宿に参加するコース(SR-401-9D) の2つがあります。このいずれかを選びます。日本から参加するのであれば、滞在期間が短い9日間のコースの方がよいでしょう。

SR-401とSR-402 を受講後、さらに、MBSR Group Supervision (SR-403)、MBSR Individual Supervision (SR-404) を修了して、MBSR Teacher Certification を申請して認められると、上位資格のMBSR Certified Teacher として認定されます。それぞれ、リトリート参加数やMBSRのコース開催数などの前提条件が設定されています。

講師向けトレーニングコースの内容は随時変わりますので、最新の情報は、下のリンクをご参照ください。

https://www.umassmed.edu/cfm/training/MBSR-Teacher-Education/

日本で実施されるMBSR8週間コースのうち MBSR Qualified Teacher または MBSR Certified Teacher が教室で実施するクラスは、MBSR Fundamentals (SR-401)の前提条件の一つとして認められます。

日本で実施されるMBSRの8週間コースは、下のリンクをご参照ください。

日本で実施されるMBSRの8週間コース

MBSRコース開講と無料オリエンテーションのご案内

MBSRコース案内

マインドフルネスストレス低減法(MBSR)の 8週間コースを以下のとおり、2018年1月17日から開講します。また、それに先立って、無料のオリエンテーションを開催いたします。皆様のご参加をお待ちしております。

マインドフルネスストレス低減法(MBSR) は、ジョン・カバットジン博士がアメリカのマサチューセッツ大学医学部で開発した、マインドフルネスを活用して精神的なストレスや肉体的なストレス(疼痛など)を低減するためのプログラムです。1979年以降、24000人以上が受講してきました。数多くの臨床試験によって、その効果が検証されています。

このコースはMBSRクオリファイドティーチャーによる対面コースですので、修了していただきますと、MBSR講師を目指す方が、講師養成プログラムMBSR Fundamentals(SR-401)を受講するための前提条件の一つとして認定されます。必要な方には、修了後、修了証明書を発行します。

MBSRコースの開催に先立って、無料のオリエンテーションを実施します。MBSRコースに参加される方は、いずれかのオリエンテーションにご参加いただくようにお願いします。

MBSRオリエンテーション:

MBSRオリエンテーションでは、MBSR8週間コースの概要をご説明するとともに、マインドフルネス瞑想の体験をしていただきます。MBSRコースへの参加をご希望の方は、いずれかのオリエンテーションにご参加ください。オリエンテーションの参加は、無料です。オリエンテーションへの参加にあたっては、あらかじめ、参加登録していただく必要があります。

MBSRオリエンテーション #1

  • 日時:2017年12月6日 19:00-20:00
  • 場所:オンラインによるビデオ会議 (Zoomを使用します)
  • 料金:無料
  • 参加申し込み:こちらのイベントページからお申込みください。

MBSRオリエンテーション #2

MBSRオリエンテーション #3

MBSR8週間コース

日時

  • 第1週クラス:2018年1月17日 (水) 19:00-22:00
  • 第2週クラス: 2018年1月24日(水) 19:00-21:30
  • 第3週クラス: 2018年1月31日(水) 19:00-21:30
  • 第4週クラス: 2018年2月7日(水) 19:00-21:30
  • 第5週クラス: 2018年2月14日(水) 19:00-21:30
  • 第6週クラス: 2018年2月21日(水) 19:00-21:30
  • 全日クラス:2018年2月25日(日)9:00-16:30
  • 第7週クラス: 2018年2月28日(水) 19:00-21:30
  • 第8週クラス: 2018年3月7日(水) 19:00-22:00

場所

東京都港区三田2-14-8ハロー会議室・田町2F

料金

3万円 (消費税込み)。ただし、2017年12月15日までにお申込みいただく場合は、早期割引2万円(消費税込み)で受講できます。

お申込み方法

こちらのリンクからお申込みください。

その他、ご参加にあたって

  • 精神疾患、希死念慮、薬物中毒がある方は、専門の医師に参加の是非をご相談ください。また、他の参加者と日本語で会話ができない方は、このコースには参加できません。
  • 全日クラスを含め、9回のクラスにすべてご参加いただくことを強くお勧めします。7回以上参加されて、希望される方には、修了証明書 (Completion Attendance Letter) をPDFファイルでお送りします。
  • 参加見込み人数が少ない場合は、参加費を返金の上、コースの開催を中止することがあります。あらかじめ、ご了承ください。
  • 各クラスにご参加いただくほかに、参加者は、毎日1時間程度、自宅でマインドフルネス瞑想の自習のための時間をとっていただく必要があります。
  • 各クラスでは、横になった姿勢のヨガの練習をやります。毛布やヨガマットを各自ご持参いただくようにお願いします。座る瞑想は教室に備え付けの椅子を使っていただいてかまいません。床に座って瞑想をされる方は、床に座るためのクッションなどのご用意をお願いします。

講師: しげまる (MBSRクオリファイドティーチャー)

 

慈悲の瞑想

慈悲の瞑想

慈悲の瞑想とは、自分や他者を慈しむ心を育てるための瞑想で、もともとテーラワーダ仏教の伝統の中で実践されてきたものです。ここでは、マインドフルネスストレス低減法(MBSR) で取り入れらえている慈悲の瞑想の意味や、効果、実践方法について説明します。

1. 慈悲の瞑想の意味

「慈悲の瞑想」は、「慈愛の瞑想」、「愛と慈しみの瞑想」と呼ばれることもあります。英語では、loving-kindness meditation と呼ばれます。

ここでいう慈悲とは、“Loving-kindness” の著者Sharon Salzburg氏によると、「自分の命が他者と密接につながっていることを意識すること」であるといいます。この慈悲の心を育てることが慈悲の瞑想の目的です。

慈悲の心を育てることによって、自分を含め、すべての生き物にやさしい気持ちで接することができるようになります。

2. 自分の命が他者とつながっている

私は、最初のうち、慈悲の瞑想に抵抗がありました。「自分の命が他者とつながっている」というところが宗教的で非科学的な感じがしたからです。

ところが、最近は受け入れることができるようになってきました。確かに自分の命が他者とつながっていることが分かったためです。

2-1. ミトコンドリア・イブ

細胞レベルで考えると、自分の身体は、約37兆個の細胞からできています。すべて、たった1個の受精卵から分裂して増えたものです。この受精卵は、もともと母親の細胞の一つに父親の遺伝子が加わって変化したものでした。

このように考えると、母親が死んだ後でも、私が生きている限り、母親の細胞がすべて死んだわけではなくて、私の細胞として生き残っていることになります。

私の母親は同じように、祖母から細胞と遺伝子を受け継いでいます。このように代々母方をさかのぼっていくと、全人類の共通の女系の祖先に行き着きます。この祖先は、ミトコンドリア・イブと呼ばれ、約16万±4万年前にアフリカで生きていた、とされています。

人類の移動と祖先のグループ

ミトコンドリア・イブは、遠い昔に死にました。しかし、その細胞は、死滅しておらず、私を含めた全人類の細胞として生きている、といえると思います。別の言い方をすると、ミトコンドリア・イブの受精卵1個が分裂して、受精の度に父方の遺伝子を交えつつ、自分を含め、全人類の細胞に変化したのです。

2-2. LUCA

さらに祖先をさかのぼっていくと、動物、植物、菌類、細菌を含む地球上の全ての生物の共通祖先に行き着きます。この共通祖先は、LUCA (Last Universal Common Ancestor)と呼ばれています。LUCAは、約40億年前の地球に単細胞生物として生きていました。

ミトコンドリア・イブと同じように、LUCAの細胞は死滅しておらず、自分を含めた全ての生物の細胞として、この瞬間も生きている、と考えることができます。

あるいは、LUCA自身が今でも生きていて、私やほかの生き物は、40億年かけて成長したLUCAの一部分であると考えることもできるのではないでしょうか?

そうすると、私が他の生き物を食べたり、私が死んだ後に細菌に分解されたりするのは、40億年かけて巨大に成長したLUCAの細胞同士がコミュニケーションをしているようなものです。

このように祖先が同じだと考えると、すべての生き物に同胞意識がわいてくるのではないでしょうか? もとは同じ細胞だったわけですから。

LUCAの末裔が生きている限り、私もある意味、生きているといえるのではないか、と思います。そうすれば、自分が死ぬことはそんなに恐ろしいことではないかもしれません。また、どのような命も粗末にはできないです。

2-3. ビッグバン

さらに時代をさかのぼって、138億年前のビッグバン、つまり宇宙の始まりまでさかのぼれば、自分は、全宇宙の物質やエネルギーとつながっているといえるかもしれません。

私の場合、このように、ミトコンドリア・イブ、LUCA、ビッグバンといった祖先や昔の出来事を通じて、他者とのつながりを意識するようになりましたが、別にこのようなものを持ち出さなくても、現在の自分に直接、間接の影響があるものであれば、なんでも、自分の命と何らかの関係性があるという見方もできると思います。

3. 慈悲の瞑想のやり方

アインドフルネスストレス低減法(MBSR)では、第6週と第7週のクラスの間に実施する全日クラスで、慈悲の瞑想を練習します。

慈悲の瞑想のやり方は、様々な方法がありますが、基本的には、自分に対するやさしい気持ちを呼び起こして、それを身近な人から世界中の人や生き物に広げていきます。

ここでは、しげまるによる慈悲の瞑想の音声ガイダンスと、ジョン・カバットジン博士による慈悲の瞑想のテキストを掲載しておきます。

3-1. しげまるによる慈悲の瞑想(音声ガイダンス)

3-2. ジョン・カバットジン博士による慈悲の瞑想(テキスト)

  1. まず、呼吸に意識を向けて観察します。
  2. 自分自身に対するやさしい気持ちを呼び起こします。たとえば、だれか、親しい人が自分を受け入れてくれた時のことを思いだします。
  3. 自分自身に対して、簡単な言葉をかけます。自分で作ってもよいですし、他の人が作ったものを使ってもよいです。本当に実現すると信じて、心を込めて唱えます。たとえば、「私の悩みや苦しみがなくなりますように。幸せでありますように。健康でありますように。楽に生きていけますように。」
  4. 次に、だれか特定の親しい人のことを心に思い浮かべて、その人の幸せを願います。たとえば、「xxさんが幸せでありますように。悩みや苦しみがなくなりますように。愛と喜びを経験できますように。楽に生きていけますように。」
  5. 同じ方法で家族や子供、友人など、他の親しい人々の幸せを願います。
  6. 次に、何らかの理由で気まずい感じがしている人を一人思い起こします。自分に害をなす人や敵ではなくて、ただ、やさしい気持ちを持てなかった人を選んで、同じ方法でその人の幸せを願います。
  7. 次に、自分に害をなした人を思い起こして、その人の幸せを願います。この人がやったことを必ずしも許す必要はなく、この人も悩みや苦しみがある一人の人であることを単に認めてあげるのが目的です。この部分はオプションですので、やらなくても構いません。もちろん、この人を許してあげてもかまいません。
  8. 次に、その他の人、知っている人も知らない人も、人間以外の生き物も好きなだけ範囲を広げて、幸せを願います。
  9. 最後に、自分自身の身体や呼吸の観察をして、瞑想を振り返ってから終わります。

4. 慈悲の瞑想の効果

ジョン・カバットジン博士によると、この慈悲の瞑想を継続して実施することによって、以下の効果があるとのことです。

  • 自分自身と他者にやさしい気持ちを持つことができる。
  • 自分自身と他者の間に絶対的な境界線などないことが理解できるようになる。
  • これにより、マインドフルネスの練習、習得がやりやすくする。

5. まとめ

慈悲の瞑想を続けることによって、自分と他者がつながっていることを理解し、自分を含めたすべての命に対して、やさしい気持ちを持つことができるようになります。

そうすると、心が穏やかになり、マインドフルネスの練習、習得がやりやすくなります。

慈悲の瞑想を含め、マインドフルネスを効果的に学ぶにためは、8週間継続して、マインドフルネス瞑想を練習する必要があるとされています。ひとりだけで習得するのは難しいので、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)プログラムのコースに参加されることをお勧めします。

日本で、受講可能なMBSR のコースは、コースは、下のリンクをご参照ください。

日本で受講可能な8週間のマインドフルネスストレス低減法(MBSR)コース


出典:
Kabat-Zinn, J. 2013 Full Catastrophe Living

 

マインドフルネス瞑想のやり方

マインドフルネス瞑想のやり方

ここでは、様々なマインドフルネス瞑想のやり方を説明します。いずれも、マインドフルネスストレス低減法 (MBSR) で取り入れられているものです。

マインドフルネスの入り口として、この中で自分に合った方法を試してみてはいかがでしょうか?

1. 食べる瞑想

食べる瞑想は、マインドフルネスストレス低減法のコースの最初のクラスで練習します。この瞑想の目的は、五感を使って食べ物を観察することによって、「今、ここ」で起こっていることに気付くことです。やり方、以下の通りです。

  1. まず、干しブドウか、それに類する小さな食べ物を2粒、用意します。
  2. 一粒目を手に取って、自分の目でできるだけ詳しく観察します。時間をかけて、まるで、「火星人が地球にやってきて初めて干しブドウを見る時のように」、干しブドウを新鮮な気持ちで、初めて見る物体として扱います。表面のしわとか、色とか、光の反射具合とか、できるだけ詳しく観察します。
  3. 次に、指で触った感覚を観察し、耳の近くにもっていって音を観察します。音は聞こえないですが、耳の近くに持ってきて指で転がすと、かすかに音がします。
  4. さらに、においをかいで、唇に乗せて、口の中に入れて、歯の間に乗せて、噛んで、飲み込みます。このそれぞれの過程で、時間をかけて、五感で感じることを、できるだけ詳しく観察します。
  5. 途中で、心の中に、「なんで私こんなことをやっているのだろう」とか、「早く食べてしまいたい」とか、「もっと食べたい」とか、いろいろな考えが起こってきたら、自分の心にそのような考えや感情が起こっていることに気が付いて、自分の意思で「物体」の観察に戻ります。
  6. 残ったもう一粒も同じ要領で観察します。

ここまでの進め方をビデオにしたものがありますので、ご参照ください。

食べる瞑想は、普通に食事をするときにも、実践できます。干しブドウの要領でやると、時間がいくらあっても足りませんので、最初の一口、二口だけ実践するといいでしょう。食事のたびにマインドフルネスの練習ができます。

これを日々実践すれば、食事がとてもおいしく感じられるようになります。

また、自分の食べ物に関する欲求がどのようなものかわかってきます。

たとえば、食べ物を見たり、においをかいだりしただけで、早く口に入れたいという欲求がわいてきます。また、少し食べ物を口に入れただけで、もっとたくさん口に入れたいという欲求がわいてきます。ストレスを抱えている時は、このような欲求が特に強くなります。

普段、私たちは、無意識のうちに、このような食べ物の欲求の影響を受けています。

食べ物に関する欲求をありのままに観察する習慣をつけると、無意識のうちに食欲の影響を受けて食べ過ぎたり、不健康なものを食べることを防ぐことができるようになってきます。

この食べ物の欲求を観察するときのコツは、そのような欲求があることを客観的に観察して、そのことで自分を責めたりしないことです。食べ物に関する欲求も進化に由来するものです。自分に対する優しい気持ちと好奇心を持ちましょう。

2. ボディスキャン

ボディスキャンは、自分の身体のそれぞれの部分の感覚を順番に観察し、最後に身体全体の感覚を観察する瞑想方法です。この瞑想も、自分の身体の感覚を観察することにより、「今、ここ」で起こっていることに気付くことを目的とします。

  1. まず、仰向けに横になって、身体全体の感覚を観察し、手をお腹において、お腹で呼吸を観察します。
  2. 次に、意識をお腹の呼吸から、身体の中を通って、左足の親指に移します。
  3. 自分の左足の親指、その他の指、足の裏、かかと、足の甲、足首、脛、ふくらはぎ、太もも、といった具合に、左足の各部分の感覚をありのままに観察します。
  4. 何も感じなければ、何も感じないことを観察します。途中で、別のことを考えて観察をしていないことに気が付いたら、自分の意志で、身体の観察に戻ります。
  5. 左足の太ももまで来たら、一旦意識を広げて、左足全体の感覚を観察します。そして、また、意識を絞って、左足の太ももに戻します。
  6. 同じように、身体の細かい各部分を観察したあと、意識を広げてまとまった部分全体を観察します。左足に続けて、右足、胴体、両手、頭を観察します。
  7. 頭から、さらに意識を広げて、身体全体の感覚を観察します。

具体的なやり方は、下のビデオご参照ください。

ボディスキャンの瞑想練習では、ほとんどの人が途中で眠くなってしまいます。自分もそうでした。この練習は集中力と忍耐力を鍛える練習でもあると思います。

自分の場合は、自分の身体の各部分を昔からの友達だと思って、ボディスキャンの時に身体の各部分に会いに行く意識を持つようにすると、眠くなりにくいです。各自、どうすれば眠らずに最後までできるか、工夫していただければと思います。

眠らずに意識を集中したままでボディスキャンの最後までいくと、とても気持ちいいです。ただし、気持ちよくなろうと思ってボディスキャンをやると、そんな意識が観察を邪魔してうまくいかなかったりします。

3. 座る瞑想

マインドフルネスストレス低減法(MBSR) では、8週間のコースの中で、まず座り方から学び、呼吸の観察、身体の感覚の観察を練習して、最終的には、何も選択しない瞑想の練習をします。

3-1. 座り方

マインドフルネスストレス低減法 (MBSR) では、座る瞑想をする場合、椅子に座っても、床に座ってもかまいません。具体的な方法、以下のとおりです。

3-1-1. 椅子に座る場合

  1. 椅子に座った時に、両ひざの位置が腰骨の位置と同じか、低い位置にあるような姿勢をとります。足の裏が床につかない時は、足の下にクッションなどを敷きます。
  2. もし背中が痛ければ、背もたれに、もたれていただいて結構です。そうでなければ、椅子のやや前の方に、背筋を伸ばして座ります。
  3. 背筋を伸ばして座ると、背骨の下のほうがやや前方に湾曲します。この自然な湾曲を意識します。その方が長い時間座れるようになります。
  4. 肩と腕の力は抜いて、手は、膝の上か、太ももの上に自然に置くか、手を組みます。頭は胴体の上でバランスよく安定するところに置きます。頭のてっぺんが天井から釣られているイメージを持ちます。

3-1-2. 床に座るとき

床に座るときの基本姿勢は、椅子に座るときと同じです。

  1. 腰骨が膝と同じか、より高い位置にあるように調整します。座骨の下に座布団やクッションを敷くとよいでしょう。
  2. 足の組み方は、結跏趺坐、半跏趺坐、正座、安楽座などがありますが、自分にあったものを選びます。膝が痛い人は、結跏趺坐や正座は避けたほうがいいでしょう。大き目のクッションの上にまたがって、脛と足の甲を床につける姿勢でも構いません。
  3. 背筋を伸ばして座ると、背骨の下のほうがやや前方に湾曲します。この自然な湾曲を意識します。その方が長い時間座れるようになります。
  4. 肩と腕の力は抜いて、手は、膝の上か、太ももの上に自然に置くか、手を組みます。頭は胴体の上でバランスよく安定するところに置きます。頭のてっぺんが天井から釣られているイメージを持ちます。

下のビデオの説明も併せてご参照ください。ビデオは、呼吸を観察する瞑想を含みます。

3-2. 呼吸を観察する瞑想

座る瞑想にはいろいろなバージョンがあるのですが、まず、呼吸を意識した瞑想から練習します。

呼吸はマインドフル瞑想のとても便利な道具です。いつでも、どこにいても、呼吸を観察することによって、「今、ここ」に意識を向けることができます。呼吸の観察は、すべてのマインドフル瞑想の基本になるものです。

また、呼吸の観察に慣れておくと、日常生活においても、呼吸を観察することによって、いつでも、心を落ち着かせることができるようになります。

やり方は、次のとおりです。

  1. 椅子、または、床に座って姿勢を正します。
  2. 自分の呼吸を一番感じるところ、たとえば、鼻とか胸とかお腹などを探して、その部分の感覚で呼吸を観察します。
  3. 呼吸の流れを、下のように一つ一つ、できるだけ詳しく観察していきます。たとえば、
    ・・・⇒ 吸う息の始まり ⇒ その続き ⇒ 吸う息の終わり ⇒ 吸う息と吐く息の間の微妙なポーズ ⇒ 吐く息の始まり ⇒ その続き ⇒ 吐く息の終わり ⇒ 吐く息と吸う息の間の微妙なポーズ ⇒ 吸う息の始まり・・・
  4. 瞑想の途中で呼吸を変えことを考える必要はありません。呼吸について考えるのではなくて、今の呼吸をありのままに観察します。
  5. 途中で、いつの間にか呼吸から注意が逸れて、別のことを考えていることに気が付いたら、そのような自分の心にやさしい気持ちと好奇心を持って接して、自分の意志で、呼吸に注意を戻します。瞑想中、何度でもこれを繰り返します。この繰り返しがマインドフルネスの練習になります。

3-3. 身体全体を観察する瞑想

呼吸を身体の1か所で観察する瞑想を続けてできるようになってきたら、次に、意識を広げて、呼吸をする身体全体の感覚を観察します。

ボディスキャンで、意識を身体の一点に集めたり、全体に広げたりする練習をしていると、比較的やりやすいと思います。

3-4. 音を観察する瞑想

次に、身体全体の感覚から、今聞こえている音に意識を移します。

身体の中から聞こえてくる音、部屋の中から聞こえてくる音、部屋の外から聞こえてくる音、音の強さや高さ、リズム、音色など、ここでもできるだけ詳しく観察します。

音の意味を考えるのではなくて、音自体を現象として観察します。

音が聞こえると、心が素早く動いて何の音なのか考えたり、ラベルをはったりしますが、そのような自分の心の働きにも気が付きます。そうして、また、音に注意を戻します。

3-5. 今の考え、感情を観察する瞑想

次に、心の中に起こる「考え」や「感情」を観察します。

自分の心の中に沸き起こる、いろいろな「考え」も、他の瞑想対象のように、心で起こっている現象、出来事として観察することができます。過去の記憶とか、人の顔とか、明日の仕事の段取りとか、いろいろな「考え」が心に発生して、それが続いて、やがて消えていく様を観察します。

心に浮かぶ「考え」に伴って、怒り、悲しみ、喜びといった感情が心の中に現れることがあります。このような感情も、心で起こる現象として観察します。

考えや感情を観察していると、いつの間にか考えや感情に巻き込まれてしまって、自分が観察していないことに気が付くかもしれません。そのようなときは、そのような自分の心に優しい気持ちで接して、また、考えや感情の観察に戻ります。

心が乱れて考えや感情の観察が難しいと感じたら、一旦、呼吸の観察に戻ります。心を落ち着けてから、考えや感情の観察に戻ります。

3-6. 何も選択しない瞑想

次に、意識を広げていって、呼吸、身体全体の感覚、音、考えや感覚といった、自分が今体験していることをすべて意識に含め、観察します。

この瞑想では大空のたとえ話がよく用いられます。雲が大空を通り抜けて行っても、大空はそれを追いかけたり、つかまえたりしません。自分が大空になったような気持ちで、いろいろな体験、たとえば、呼吸、身体感覚、音、考え、感情などが起こっては消えていくのを観察します。この瞑想は、「何も選択しない瞑想 (Choice-less Awareness) 」と呼ばれます。

4. マインドフルネス・ヨガ

マインドフルネス・ヨガは、身体を鍛えたり、柔軟にしたりということよりも、ヨガのポーズをとりながら、身体の感覚をありのままに観察することを通じて「今、ここ」に意識を集中することを目指します。

このため、だれでも実践できる、最も簡単なハタ・ヨガのポーズが採用されています。

マインドフルネスストレス低減法 (MBSR)では、以下の2つのシークエンスが用意されています。

4-1. 横になった姿勢のヨガ

4-2. 立った姿勢のヨガ

5. 歩く瞑想

歩く瞑想(歩行瞑想)は、マインドフルネス瞑想の方法の一つです。歩くときの身体の感覚を観察することにより、意識を「今、ここ」に向けていきます。

意識が「今、ここ」から離れてしまった時には、自分の考えや感情を観察して意識を「今、ここ」に戻すまで、身体の動きを止めておくことができます。

また、歩く瞑想を身につけると、出勤や通学の途中でも気軽に瞑想を行うことができます。

ビデオガイダンス(歩く瞑想の練習)

音声ガイダンス (歩く瞑想の練習)

詳細は、歩く瞑想の紹介ページをご参照ください。

6. 慈悲の瞑想

慈悲の瞑想では、自分自身へのやさしい気持ちを思い描いて、それを自分の身近な人、苦手は人、さらに、すべての生きとし生けるものに広げていきます。

これによって、自分自身と他者に対する優しい気持ちと好奇心を育てていきます。これがマインドフルネスの習得に役立ちます。

詳細は、慈悲の瞑想についてのページをご参照ください。

音声ガイダンス(慈悲の瞑想)

7. 山の瞑想

山の瞑想は、座っている自分を山に見立てて、風が吹こうが、嵐が来ようが、人に褒められようが、けなされようが、何があっても動じない様子を心に思い描く瞑想です。ストレスフルな状況でも、動じない心を育てます。

8. まとめ

ここでは様々なマインドフルネス瞑想の方法を紹介しましたが、ひとりで練習して習得するのは、なかなか難しいと思います。

これらのマインドフルネス瞑想を効果的に習得するには、8週間のマインドフルネスストレス低減法 (MBSR)のプログラムに参加されることをお勧めします。

このプログラムは、マサチューセッツ大学医学部でジョン・カバットジン博士が科学的な知見に基づいて、肉体的、精神的なストレスを低減するために開発したものです。

日本で参加可能なコースは、下のリンクをご参照ください。

日本で参加可能なマインドフルネスストレス低減法(MBSR)8週間コース

マインドフルネスストレス低減法とは?

マインドフルネスストレス低減法 (MBSR: Mindfulness Based Stress Reduction) は、アメリカのマサチューセッツ大学医学部でジョン・カバットジン博士によって開発された、マインドフルネスを活用してストレスを低減するためのプログラムです。

1. 歴史

創始者のジョン・カバットジン博士は、1970年台のはじめ、マサチューセッツ工科大学(MIT)を卒業後、分子遺伝学を教える教職に就いていました。在学中からマインドフルネスに興味を持ち、韓国人の禅僧 Seung Sahn師などから禅の手ほどきを受け、マインドフル・ヨガのインストラクターをしていました。その後、マサチューセッツ大学(UMASS)医学部で教職を得ます。

ジョン・カバットジン博士

1979年の春、ジョン・カバットジン博士は、2週間のヴィパッサナー瞑想リトリートに参加した際に、病院で疼痛患者に対してマインドフルネスを役立てるアイデアを思いつきました。当時、大学病院の医師から、医療では疼痛に悩む患者の10-20%しか救うことができないと聞いたそうです。

博士は、このアイデアをもとに、1979年9月、ストレス低減・リラクゼーション・プログラム (Stress Reduction and Relaxation Program) を始めました。その後、数年のうちに、この活動は、ストレス低減クリニック (Stress Reduction Clinic) として、マサチューセッツ大学医学部の一部門として認められるようになりました。プログラムの名称は、その後、1990年台のはじめに、マインドフルネスを活用していることを明確にするため、マインドフルネスストレス低減法 (MBSR: Mindfulness Based Stress Reduction) と改称されました。

ジョン・カバットジン博士によると、初期のMBSR 関連の論文は、様々の流派の仏教やヨガの実践方法や教えを参照しているとのことです。テーラワーダ仏教、曹洞宗と臨済宗の両方の禅宗を含む大乗仏教、ベーダーンタ学派、クリシュナムルティ、ラマナ・マハルシなどのヨガの伝統からも引用されているとのことです。

ジョン・カバットジン博士が師事した禅師、Seung Sahn師は、曹洞宗と臨済宗の両方を取り入れ、特に公案を使った修行に力をいれておられたそうです。

このストレス低減クリニックは、その後、「マインドフルネスセンター (Center for Mindfulness)」 さらに、「医学・ヘルスケア・社会に関するマインドフルネスセンター (Center for Mindfulness in Medicine, Health Care, and Society)」 と改称されました。

MBSR は、疼痛などの身体的なストレスだけでなく、精神的なストレスに対しても有効であることが、数々のランダム比較テストで証明されています。これまで24,000人以上がこのプログラムに参加しました。

1990年台には、ジョン・ティーズデイル博士、ツインデル・シーガル博士、マーク・ウィリアム博士により、MBSR をもとに、再発性うつ病への対策に焦点をあてたマインドフルネス認知療法 (MBCT)が開発されました。

2. カリキュラムの内容

2-1. プログラムの期間

プログラムの期間は、オリエンテーションを除いて、8週間あります。マサチューセッツ大学の研究と実績から、マインドフルネスの習得には、8週間続けて集中的に行うことが必要とされています。

2-2. クラスへの参加と自宅練習

プログラム参加者は、次のとおり、グループ学習のクラス参加と、自宅練習を行うことが求められます。

  • 8週間の間、週に1回、2-3時間のクラスに参加する。
  • 第6週と第7週の間に、朝から夕方までの全日クラスに参加する。
  • 自宅で、毎日の1時間の公式な練習を行う。さらに日常生活でのマインドフルネスを実践することが勧められる。

クラスでは、次のようなマインドフルネス瞑想の練習を行います。

2-3. 実際の体験やグループ学習を重視

レクチャーを通じて学ぶことより、実際に体験することと、ほかの参加者との対話を通じた学習が重視されます。その方が、効果的にマインドフルネスを学ぶことができるためです。

2-4. 科学的な裏付けに基づくカリキュラム

このプログラムで学ぶ内容の背景には、仏教の考え方がありますが、クラスで仏教の用語や教義を学ぶことはありません。また、仏像に礼拝したり、お経を唱えるといったこともありません。カリキュラムの内容は、科学的な裏付けを得たものであり、新しい知見が得られれば、随時変更されます。

2-5. 自分自身をいたわること

プログラムの参加者は、自分の身体をいたわるように講師からガイダンスを受けます。お年寄りや病気を持つ人でも参加できるように、ヨガのポーズは簡単なポーズが採用されています。座る瞑想では、床に座ることに慣れていない人は、椅子に座って行うように勧められます。

自分自身をいたわることは、マインドフルネスを実践するうえでも重要なことです。自分の身体や心をありのままに観察するため、自分自身に対してやさしい気持ちと好奇心を持つように、機会があるごとに、プログラム参加者に促されます。

3. プログラムの効果

プログラムに参加することによる効果は、以下のとおりです。ただし、すべての参加者にとって、これらの効果が保障されているわけではありません。

  • 身体感覚、集中力が向上します。
  • 現実の困難や身体的苦痛、精神的苦痛に対して効果的に対処できるようになります。
  • 自分自身をいたわることができるようになります。

4. 科学的な根拠

多くの臨床試験により、マインドフルネスストレス低減法(MBSR) が、様々な精神的、身体的症状に対して効果があることが実証されています。以下は、アメリカ国立衛生研究所のウェブサイトに掲載された研究例です。

  • 不安障害: 93人の全般性不安障害の患者に対してMBSRとストレスマネジメント教育のランダム化比較試験をしたところ、いずれの方法でも症状の回復が見られたが、MBSRの方が、効果が大きかった。
  • 喘息: 42人のぜんそく患者に対してランダム化比較テストを施したところ、肺の機能に違いは見られなかったが、8週間のMBSRを受講したグループの方が1年後の生活の質(quality of life) が向上していた。
  • がん: 166人の乳がん患者に対して、8週間のMBSR のランダム化比較試験を行ったところ、MBSR を受講した患者は、うつ傾向、メンタルヘルスが大きく改善し、免疫反応についても大きな改善が見られた。
  • 慢性疼痛: 1960年から2010年までの間に疼痛とマインドフルネスをベースにしたプログラムに関する調査が16件報告されており、そのうち、ほとんどの調査(16件中10件) で、疼痛の大幅な緩和が確認された。
  • 糖尿病: 2型糖尿病の患者110人に対して、ランダム化比較テストを施したところ、MBSR を受けたグループの方が、5年後、うつ症状を発症する割合が低く、健康状態も良好だった。ただし、糖尿病のマーカー(アルブミン尿)のレベルは変わりがなかった。
  • 線維筋痛症: 177人の線維筋痛症の女性にランダム化比較試験を施したところ、MBSRを受講したグループは、健康に関する生活の質 (health-related quality of health)の改善が見られ、さらに、うつ症状、痛み、不安、身体症状などでも改善が見られた。
  • 胃腸障害: 90人の過敏性腸症候群の患者にランダム化比較試験を施したところ、MBSRを受けたグループは、症状の改善がより顕著だった。
  • 心臓病: 左室駆出率が40%以下の成人の心臓病患者208人に対して、ランダム化比較試験を実施したところ、マインドフルネスをベースとした8週間のトレーニングを受けたグループの方が、不安やうつが少なく、トレーニング後1年後もこの傾向が続いた。
  • HIV: ART療法を受けた結果、うつ症状の副作用を示しているHIV患者76人に対してランダム化比較試験を施したところ、MBSRを受講した患者は、3か月後、および6か月後の調査でARTの副作用の頻度の減少が見られた。
  • ホットフラッシュ: 一日あたり平均5回以上のホットフラッシュが起こる女性110人に対して、ランダム化比較試験を施したところ、MBSRを受講した女性は、ホットフラッシュが起こる率がそれ以外のグループよりも大きく減少した。また、MBSRを受講したグループは、生活の質がそれ以外のグループよりも大きく向上した。
  • 高血圧: 56人の高血圧前症の男女56人にランダム化比較試験を施したところ、MBSRを受講したグループはそれ以外のグループよりも高血圧症の改善が見られた。
  • 気分障害: 39件の文献を調査したところによると、マインドフルネスをもとにしたセラピーは、不安障害、気分障害の改善に効果が認められた。
  • 睡眠障害: デンマークで乳がん手術後の不眠で悩む336人に対して、ランダム化比較試験を行ったところ、MBSRの8週間のコースに参加した人は、睡眠の質が大幅に改善し、12か月後の追跡調査でもこの傾向は変わらなかった。
  • ストレス障害: 中間管理職114人の被験者に対して、ランダム化比較試験を実施したところ、8週間のMBSRコースが、仕事に関するストレスを低減し、職場における心理的な適応力を強める効果があることが認められた。

5. プログラムの参加方法

マサチューセッツ大学医学部のマインドフルネスセンター (Center for Mindfulness in Medicine, Health Care, and Society)で認定を受けたMBSRクオリファイド・ティーチャー、または、サーティファイド・ティーチャーによって、世界各地でMBSRプログラムのコースが運営されています。

日本で受講可能なコースは、以下のリンクをご参照ください。

日本で受講可能なマインドフルネスストレス低減法プログラム(MBSR) 8週間コース

マインドフルネスとは?

what is mindfulness

「マインドフルネス」とは、「今、ここ」で起こっていることに意識を向けることです。そうすることによって、心を落ち着かせ、ストレスを減らす効果があるとされています。

最近、この「マインドフルネス」という言葉をさまざまな場面で見聞きするようになりました。たとえば、

  • テレビの健康番組、雑誌などで、ストレスやイライラを抑えるための方法として紹介されています。
  • 瞑想、ヨガ、座禅、医療、宗教などの書籍やセミナーで、マインドフルネスの考えを取り入れた方法が紹介されています。
  • グーグル、インテル、ゴールドマンサックスといった有名企業が、マインドフルネスを従業員の教育や研修に活用しています。

mindful companies

ここでは、マインドフルネスの意味、効果、これを身につける方法などについて、説明します。

1. マインドフルネスの意味

「マインドフルネス (mindfulness)」は、英語の形容詞「マインドフル (mindful)」 の名詞形です。「マインドフル」は、日本語にすると、「気が付いている」といった意味です。ですから、「マインドフルネス」の意味は、「気が付いているということ」です。また、そのための方法やスキルを意味することもあります。

何に気が付いているかというと、「今、ここ」で起こっていることについてです。

たとえば、「あなたは今、何をしていますか?」と聞かれて、「ウェブサイトを見ています。」と答えたとします。そうすると、「今、ここ」で自分が何をやっているか気が付いているので、この瞬間はマインドフルな状態です。

マインドフルネス瞑想では、今の自分の身体や心の状態を観察します。この観察ができている間は、「今、ここ」で何が起こっているか気が付いているので、マインドフルな状態です。

マインドフルネス瞑想の途中でも、何か別のことを考えていて、「今、ここ」で起こっていることに気が付いていない状態は、マインドフルとは言えません。「心、ここにあらず」の状態をマインドフルの反対の「マインドレス(mindless)」といいます。

「マインドフルネス」という言葉は、仏教の言葉「正念 (sati)」の英語の訳語でもあります。「正念」とは、悟りを得るために守るべき8個の徳目(八正道)の一つで、常に現在の状態に気が付いているという意味です。

マインドフルネスが世に知られるようになったきっかけは、ジョン・カバットジン博士がマインドフルネスストレス低減法(MBSR) を開発し、世界に広めたことです。このプログラムは、仏教の考え方をもとにしていますが、そのカリキュラムの開発や効果の検証は、科学的な手法で行われています。

2. マインドフルネスの定義

マインドフルネスの最も有名な定義は、ジョン・カパットジン博士によるものでしょう。その定義は、次のとおりです。

Paying attention in a particular way : on purpose, in the present moment,
and non-judgmentally. (出典: Jon Kabat-Zinn “Full Catastrophe Living Revised Edition” 2013)

これを日本語に翻訳すると、「意識的に、今の瞬間に、ありのままに、注意を払うこと」ということになります。

2-1. 「意識的に」

普段、我々は無意識のうちに様々なことを体験し、無意識のうちに様々な感情を起こし、さらに、無意識のうちにその感情の影響を受けています。マインドフルネスでは、自分の意志で意識的に今体験していることを観察します。

2-2. 「今の瞬間に」

我々は、多くの時間を、過去のことを思い返したり、将来のことを想像したりして過ごしています。そこから得られる情報は不正確ですし、ネガティブな考えや感情を引き起こしがちです。

現実とは、今のこの瞬間に起きていることです。マインドフルネスでは、今の瞬間に起きている現象、例えば身体の感覚や、心の中の考えや感情などを観察します。

now mindful

2-3. 「ありのままに」

普段我々は、自分が体験していることと、そこから引き起こされる考えや感情を混同しがちです。

例えば、身体に痛いところがあると、「こんな苦痛に満ちた人生はいやだ」とか「なんて自分はみじめなんだ」などのように、様々な考えや感情が無意識のうちに引き起こされて、その痛みと区別がつかなくなります。

ところが、実際は、身体の痛みは、身体に起こっている現象であって、そこから引き起こされる考えや感情とは別のものです。

ありのままに今起こっていることを観察することによって、現実に起きている現象と、そこから引き起こされる考えや感情を区別します。

また、痛みは自分の一部で、自分とは不可分なものだと考えがちですが、痛みをありのままに観察する練習を続けることによって、自分自身からも切り離していきます。

ネガティブな考えや感情についても、今、心の中で起こっている現象として観察します。そうすることで、そこからさらにネガティブな考えや感情が自動的に引き起こされるのを防ぎます。また、ネガティブな考えや感情と自分自身を区別していきます。

自分のことになると、ありのままに観察することは難しいかもしれません。自分の身体や心にやさしい気持ちと好奇心を持って接すると、ありのままに観察しやすくなります。

2-4. 「注意を払う」

視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感を使って、「今、ここ」で起きていることを観察します。また、自分の身体の感覚や心の中の考えや感情を観察します。

「今、ここ」で起きていること観察することは、短時間なら簡単にできますが、これを長い時間続けるのは容易ではありません。いつの間にか心は、「今、ここ」から離れて、別のことを考えてしまいます。

マインドフルネス瞑想の練習をすることによって、必要なときに「今、ここ」に意識を向けたり、長い時間、継続することができるようになります。

3. マインドフルネスの効果

マインドフルネスを身につけると、どんな効果があるのでしょうか?

3-1. 過去の嫌な記憶、将来の心配から逃れる

ストレスで悩んでいる人の多くは、過去の嫌な記憶や苦痛を思い出したり、まだ来ない将来のことを心配して悩んでいます。

自分の心が「今、ここ」に向けることによって、過去の嫌な記憶や将来の不安で心を乱されることが少なくなります。

 

3-2. 自分の感情や苦痛をコントロール

自分の心をありのままに観察できるようになると、自分の感情をコントロールしやすくなります。

たとえば、怒っている時は、無意識のうちに怒りが大きくなっていきやすいですが、自分の怒りの感情に気が付いて、その感情を客観的に観察することができれば、だんだんと怒りはおさまってくるものです。

また、身体の痛み(疼痛)を、ありのままに観察していくことで、身体の痛みと、そこから引き起こされるネガティブな考えや感情を区別できるようになります。

無意識のうちに痛みとネガティブな考えや感情が結びつく場合と比較すると、苦痛の対処がやりやすくなります。

3-3. ストレスや困難への対処

「脳の可塑性」により、人間の脳は常に変化しています。いつも頭の中で考えていることが脳内で強化されています。

いつも腹をたてている人は怒りの感情が強化され、いつも孤独を感じている人は、孤独の感情が強化されます。

マインドフルネスの練習では、自分の身体や心をありのままに観察する過程で、自分に対する優しさや好奇心を育てていきます。やさしい気持ちや好奇心が強化された脳の方が、ネガティブな感情が強化された脳よりも、ストレスや困難への対処がやりやすくなるのです。

3-4. 科学的な根拠

マインドフルネスストレス低減法 (MBSR)などのマインドフルネスを活用したコースに参加することにより、不安障害、喘息、がん、慢性疼痛、糖尿病、繊維筋痛症、胃腸障害、心臓病、HIV、ホットフラッシュ、高血圧、うつ病、気分障害、睡眠障害、ストレス障害など、様々な身体的ストレスや精神的ストレスを低減する効果があることが科学的に検証されています。詳細は、「科学的な根拠」のリンクをご参照ください。

4. 日常生活での活用

マインドフルネスは日常生活の様々な場面で活用することができます。いくつかの例を以下のリンクで紹介します。

5. マインドフルネスの練習方法

マインドフルネスは、自分の呼吸を観察するだけで、簡単に実現できます。次の方法を試してみましょう。

  1. 背筋を伸ばして椅子に座る。
  2. 目を閉じて、顔、肩、腕などの力を抜く。
  3. 鼻の穴、胸、あるいは、お腹など、呼吸を感じる場所を選ぶ。
  4. その場所の感覚を通じて、呼吸の流れ(吸う息の始まり、続き、終わり、吐く息の始まり、続き、終わり)を観察する。

ところが、1・2分もすると、すぐにいろいろな考えや感情が心に現れてきて、マインドフルネスは失われてしまいます。

マインドフルな状態を長続きさせたり、必要なときにマインドフルな状態に入れるようになるには、マインドフルネス瞑想を継続して練習する必要があります。

ハーバード大学の研究によると、マインドフルネスを身につけるには、8週間の期間継続した練習が必要とされています。

科学的に検証された方法で、効率よく集中的にマインドフルネスを学ぶためには、マインドフルネスストレス低減法の8週間のコースに参加されることをお勧めします。

6. マインドフルネス関連情報

6-1. マインドフルネス本

マインドフルネスを理解するための本として、以下の本をお勧めします。

6-2. マインドフルネスアプリ

マインドフルネス瞑想を実践するためのアプリとして、英語版ですが、下のリンクの瞑想タイマーが使いやすくて、人気があります。

Insight Timer

6-3. NHK番組

最近、NHKでマインドフルネスに関する番組がいくつか放送されました。以下のリンクをご参照ください。

6-4. マインドフルネス学会

日本でマインドフルネス学会が設立されています。

7. まとめ

マインドフルネスは、「今、ここ」に意識を向けることを意味しています。これにより、ストレスを減らす効果が最近注目されています。

マインドフルネスの習得のためには、継続してマインドフルネス瞑想を実践することが必要とされています。効率的にマインドフルネスを習得するためには、マインドフルネスストレス低減法 (MBSR) の8週間のコースに参加されることをお勧めします。

日本で受講可能なマインドフルネスのコースは、下のリンクをご参照ください。

日本で受講可能なマインドフルネスストレス低減法の8週間のコース

マインドフルネス認知療法(MBCT) とは

MBCT

マインドフルネス認知療法(MBCT: Mindfulness Based Cognitive Therapy)は、マインドフルネスストレス低減法(MBSR: Mindfulness Based Stress Reduction)と認知行動療法(CBT: Cognitive Behavioral Therapy)を組み合わせて、再発性うつ病への介入を目的として開発された8週間のプログラムです。ここでは、マインドフルネス認知療法(MBCT)の概要と、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)との違いを説明します。

1. マインドフルネス認知療法(MBCT)の概要

1-1. 開発の経緯

オックスフード大学から後にケンブリッジ大学に移ったジョン・ティーズデイル (John Teasdale) 博士はフィリップ・バーナード (Phillip Barnard) 博士とともに、1991年に、ICSモデル (Interactive Cognitive Subsystems) という認知モデルを提唱しました。この認知モデルによると、人の心には、いくつかのモードがあり、その主なものに doing のモードと being のモードがあります。doing のモードは、自分の欲求と現実が異なるときに顕在化し、目標を達成するために活動するモードです。being のモードは、ゴールの達成より現在の状況をそのまま受け入れようとするモードです。

ICSモデルにおける健康な心とは、心のモードをその時の状況に応じて、柔軟に変えることができる状態のことをいいます。認知療法では、being のモードへの移行を促進することが、感情を安定させるために必要であるとされます。

ICSモデルのもう一つの重要な概念に、メタ認知能力、すなわち、認知していることを認知する能力、があります。このメタ認知能力を持つ人は、ネガティブな考えや感情が起こっても、心の中で起こっている現象として、自分自身と切り離すことができます。また、うつになりにくく、困難な状況でもネガティブな思考パターンに陥るのを意識的に避けることができます。このメタ認知能力は、自己中心的な考えから、脱中心化(decentering) していくことで得られます。

ティーズデイル博士は、being モードへの移行を促進するためには、脱中心化を通じたメタ認知能力の向上が重要であると考え、この手段として、マインドフルネス認知療法(MBCT)を開発しました。

トロント大学のツインデル・シーガル (Zindel Segal) 博士と、オックスフォード大学のマーク・ウィリアムズ (Mark Williams) 博士も、ティーズデイル博士とともに、MBCTの開発にかかわりました。開発にあたっては、ジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn) 博士がマサチューセッツ大学で先に開発していたMBSR プログラムをもとにしました。

1-2. プログラムの内容

MBCTプログラムも、MBSRと同様に、8週間をかけて実施されます。グループでの学習が重視され、8週間の間、毎週、2時間のクラスが実施されます。第5週と第6週の間に全日のクラスがあります。その他、自宅で毎日、ガイダンスの録音を使った瞑想を行う必要があります。

プログラムを通じて、自分の意志で「今、ここ」で起こっていることに対して、あるがままに、注意を向けることを学びます。参加者は、特定の考えや感情に固執するのは、無意味で不健康であることを認識していきます。

MBCTは、特に再発性うつ病への介入を目的としています。プログラム全体を通じて、参加者は、ネガティブな考えが起こってくることをそのまま受け入れることと、それを上手に対応する方法を学びます。さらに、参加者はネガティブな考えや感情を脱中心化して、次第に自分から切り離すこと、さらに、自動的な思考パターンから意識的な対処へ移行することを学びます。

1-3. 効果の検証

これまでに行われた研究によると、MBCTは、3回以上のうつ症状を過去に発症した人に最も大きな効果があるとのことです。2016年に行われた複数の文献の比較調査によると、うつ症状の再発を防ぐ効果があるとされています。

2. マインドフルネスストレス低減法(MBSR)との違い

MBCTは、以下のとおり、MBSRとほぼ同じ形式で提供されます。

  • 8週間のコース。
  • グループ学習。
  • 期間中、毎週、2-3時間のクラスがある。また、途中で1回、全日クラス(一日リトリート)がある。さらに、毎日、自宅で1時間程度の自習が求められる。
  • 実際の体験や、他の参加者との対話を通じて学習することが重視される。
  • ボディスキャン、食べる瞑想、ヨガ、座る瞑想、歩く瞑想など各種マインドフルネス瞑想を通じて、「今、ここ」の身体や心の状態を観察することを学ぶ。

MBCTの独自な要素は、次のとおりです。

  • コースの目的を再発性うつ病への介入に特化している。
  • コースのはじめの方で、自分の落ち込んだ気分やネガティブな考えに注目する。
  • コースを通じて、自分のネガティブな考えの癖や症状の理解、その対応方法を学んでいく。

3. MBCTのコース

残念ながら、認定された講師によるMBCTの8週間コースは、日本国内では見つけることができませんでした。

マインドフルネスストレス低減法(MBSR)は、より広く、身体的ストレス、精神的ストレスの低減を目的としたものです。MBSRの8週間コースでも、うつ病、不安障害、自殺念慮などへの効果があるとされています。詳しくは、 アメリカ国立衛生研究所の資料をご参照ください。

日本で受講可能なマインドフルネスストレス低減法(MBSR)の8週間コースは下のリンクをご参照ください。

日本で受講可能なマインドフルネスストレス低減法(MBSR)8週間コース


出典:

https://en.wikipedia.org/wiki/Mindfulness-based_cognitive_therapy

http://www.umassmed.edu/cfm/mindfulness-based-programs/mbct-courses/about-mbct/mbct-mbsr-differences/

仕事ストレスに対処するための19のヒント

仕事ストレス

仕事のストレスに悩んでいる人は少なくありません。マインドフルネスの観点から、仕事ストレスには、どのように対処すればいいでしょうか?

1. 仕事ストレスとは

1-1. 今のストレスレベルをチェック

仕事のストレスのレベルは、厚生労働省の5分でできる職場のストレスチェックで、簡単な質問にこたえることによって、調べることができます。自分のストレスのレベルは、時々チェックして把握しておくとよいでしょう。

1-2. 仕事があってもなくても

ほとんどの人は、お金を得るために何らかの仕事をしなければなりません。そのため、仕事のことで何らかのストレスを感じているものです。

その一方で、仕事は、私たちが社会とのつながりを保ち、社会に貢献するための手段でもあります。仕事がないことも、ストレスになります。

たとえば、病気やけがのために働くことができない人は、仕事ができるようになるのなら何を差し出してもいい、どんな仕事でもいいからやりたい、と思うかもしれません。

また、失業のために働くことができない人にも大変なストレスがかかります。

1-3. どんな仕事でもストレスがある

世の中には、きつい仕事、危険な仕事、健康に悪い仕事もあります。中でも、決められたことだけをやって、しかも、間違いが許されないような仕事は、心臓病になる率が高いそうです。

その一方で、自分でコントロールできるように見える仕事でも、様々な困難に直面するものです。市場の変化、景気、政府の規制など、自分ではコントロールできないこともたくさんあります。

すべての物事は変化していきます。一見、安定しているように見える仕事でも、例外ではありません。どのような仕事をしていても、仕事を失う可能性があります。派遣社員でも、正社員でも、弁護士でも、医者でも、警察官でも、政治家でも同じことです。

要するに、どんな仕事でも、ストレスはつきものなのです。気休めにならないかもしれませんが、仕事をしている人もしていない人も、すべての人がストレスにさらされているのです。

2. 仕事ストレスへの対処

仕事にストレスがあるのは仕方がないことですが、この仕事ストレスから自分がどのような影響を受けるのかは、コントロールが可能です。ここからは、ストレスへの対処を考えてみましょう。

2-1. リフレッシュする手段を持とう

やりがいのある仕事をしていても、ストレスで燃え尽きてしまう人がいます。現代の社会では、多くの職場で、今よりももっと成果を出すことが常に求められて、そのために努力することが強いられるからです。パソコンやスマートフォンが普及した今の時代では、このような傾向が顕著になってきています。

ジャーナリストとして成功したトニー・シュウォーツがニューヨークタイムズに書いた記事を引用します。

「皮肉なことに、もっと多くの仕事をこなすための最良の方法は、仕事をせずにリフレッシュをすることだ。たとえば、昼間にジムに行くとか、短い時間昼寝するとか、睡眠をきちんととるとか、オフィスにいる時間を短くするとか、もっと休暇をたくさん取るとか。そうすれば、生産性も上がり、仕事のパフォーマンスも健康も向上する。」

仕事ストレスに対処するために、まず、自分にあったリフレッシュの方法を見つけることをお勧めします。

もう一つの対処法は、マインドフルネスを活用することです。

2-2. マインドフルネスを仕事に取り込む

マインドフルネスとは、過去のことや未来のことで思い悩むことなく、「今、ここ」で起こっていることに意識を集中させることです。

仕事上の困難に直面した時、あるいは、難しい仕事をするとき、「今、ここ」でやっていることに意識を集中します。

人間の心は、無意識のうちに、いろいろな考えや感情が浮かんでくるようにできていて、その考えや感情に、無意識のうちに影響を受けています。

マインドフルネスを実践することによって、そのように無意識に浮かんでくる考えや感情に気が付いて、自分の意志で「今、ここ」でやっている仕事の具体的な作業に戻ります。

マインドフルネスを実践することによって、無意識の思考や感情が、いつの間にか、自分の可能性に枠をはめていることに気が付くかもしれません。

たとえば、仕事のストレスがきつくて、仕事を辞めたいと思っていても、無意識のネガティブな思考や感情に気が付いて、冷静に考えてみると、必ずしも辞める必要はないことに気づくもしれません。

また、同じ仕事を継続してやっていると、「毎日が新しい一日で、冒険に満ちていている」ということを忘れてしまうことがあります。その結果、仕事への情熱を失ったり、変化を嫌ったりして、技術革新や新しい流れに取り残されてしまうようになるかもしれません。

マインドフルネスを仕事に持ち込むことによって、「一瞬、一瞬が新しく、毎日が冒険に満ちている」ことに気が付くことでしょう。また、仕事が、やらされていることではなくて、自分が選んでやっている、という意識を持つことができるようになります。

もし将来、仕事内容や職場環境に激しい変化が起こっても、落ち着いて対応できるでしょう。

3. 仕事のストレスにマインドフルに対処するための19のヒント

  1. 朝起きた時、少し時間を取って、自分の意思で仕事に行くのだ、ということを確認する。その日の仕事の予定を確認しつつ、その予定通りにいくとは限らないことを認識する。
  2. 出勤の支度をマインドフルに行う。シャワーを浴びたり、服を着たり、朝食を取ったり、家族に挨拶したりする間、五感を使って呼吸や身体の様子を観察する。
  3. 家を出るときには、家族に気持ちを込めて「いってきます」と声をかける。家族と顔を合わせる機会がない場合は、心のこもったメモを残すようにする。
  4. 通勤途中、歩いたり、ホームや電車で立ったりしているとき、あるいは車で運転している間、、マインドフルに過ごす。職場に到着したら、自分の呼吸を観察してから、笑顔で職場に入る。
  5. 仕事中、時々、身体の感覚を観察する。肩や顔、手、背中に緊張があるときには、姿勢を正して、呼吸を観察し、緊張を取る。
  6. 仕事中、移動する必要があるときには、マインドフルに歩く。どうしても走る必要があるときには、マインドフルに走る。
  7. 仕事中は、一つのことに集中する。仕事に集中している時は、電子メールなどをできるだけ見ない。同時にいくつものことをやろうとすると、かえって効率が落ちるという研究がある。
  8. 時々、休憩を取ってリラックスする。コーヒーを飲んだり煙草を吸うより、できれば3分間外に出て、マインドフルに歩いたり、立ったり、呼吸したりする。あるいは、机で肩や首のストレッチを行う。(マインドフルネスヨガのポーズを参照)
  9. 休憩時間や昼食時間を気の合う仲間と過ごす。あるいは、一人で過ごす。週に1・2回、マインドフルに沈黙して昼食を取るのもよい。
  10. もし可能なら、昼休みに運動する。運動はストレスを減らす。
  11. 1時間に1回ぐらい、立ち止まって呼吸を観察する。この短い瞑想によって、「今、ここ」に意識を戻す。ただし、このことを仕事中に思い出すのは難しい。
  12. 職場では、様々なことをきっかけにして、自分の身体や呼吸に意識を集中し、リラックスする。たとえば、電話の音、ミーティングの準備をしている時、だれかを待っている時などを利用して、呼吸に意識を集中することでリラックスする。
  13. 仕事中、マインドフルなコミュニケーションを心掛ける。特に、自分に対して無関心な人、敵意を持っている人と、どうすれば関係が改善できるか考える。彼らの考えていること、やりたいことは何か、どうやったら彼らをサポートできるかを考える。
  14. 一日の仕事の終わりに、今日やったことと明日やることを振り返る。仕事に優先度をつける。
  15. 職場を出て家に戻るとき、マインドフルに歩く。自分の身体の様子や顔の表情を意識する。心が「今、ここ」に向いているかどうか確認する。
  16. 仕事帰りの途中、できるだけマインドフルに過ごす。スマートフォンなどは極力見ない。
  17. 帰宅したとき、家のドアを開ける前に「帰宅」モードに切り替える。家族に目を合わせて「ただいま」という。
  18. 帰宅したら、すぐに服を着替える。自分の役割を、仕事からプライベートに切り替える。必要なら、この切り替えのために、5分程度時間を取る。
  19. 瞑想は、日常生活の瞬間、瞬間で実現するもの。どのようなことをやっていても、「今、ここ」に意識を向ければ、マインドフルネス瞑想ができる。

4. 科学的な根拠

アメリカ国立衛生研究所の資料によると、8週間のマインドフルネスストレス低減法プログラム(MBSR) は、中間管理職の仕事に関連するストレスを軽減する効果があるそうです。

144人の被験者に対して、ランダム化比較試験を実施して調べたところ、大きな効果が認められたとのことです。この資料では、8週間のMBSRコースが、仕事に関するストレスを低減し、職場における心理的な適応力を強める効果があると、結論づけています。

5. まとめ

どのような仕事をしていても、ストレスはあります。

マインドフルネス瞑想を仕事に取り込むことによって、ストレスを減らすことができます。これを示す科学的な根拠もあります。

マインドフルネスを効率的に身につけるには、8週間継続してマインドフルネス瞑想の練習を実践する必要があります。このために、マインドフルネスストレス低減法 (MBSR) の8週間のコースに参加されることをお勧めします。

日本で8週間のマインドフルネスストレス低減法プログラムを受講できるコースは、下のリンクの通りです。

日本で受講可能なマインドフルネスストレス低減法プログラム(MBSR) 8週間コース


出典:
Kabat-Zinn, J. 2013 Full Catastrophe Living

眠れない時のマインドフルネス

眠れない夜

夜、眠りたいのに眠れないのはつらいものです。ここでは眠れない原因とその対策、特にマインドフルネス瞑想による対策を説明します。

1. 眠れない原因と対処法

1-1. ストレス

不眠の原因の一つはストレスです。

日中に何か大きなストレスがあると、寝ている間にいろいろな考えや感情が堂々巡りで心に浮かんできます。

次の日に大事な仕事があるからと心に言い聞かせても、言うことを聞いてくれません。寝ようとすればするほど、緊張と不安が増えて、いよいよ眠れなくなります。

こういう時は、寝る前にマインドフルネス瞑想、特に「座る瞑想」を20分から40分程度実践する習慣をつけるとよいでしょう。

「座る瞑想」では、椅子や床に置いたクッションの上に座って、呼吸、身体の感覚、音、考えや感情を順番に観察し、最後に「何も選択しない瞑想」を行います。これを寝る前に実践すると、私の場合、とても寝付きがよくなります。

1-2. 生活習慣

夜眠れないのは、生活習慣の改善を促す身体からのメッセージかもしれません。次のような生活習慣の改善を実施することで眠れるようになることがあります。

  • 毎朝同じ時間に起きて日の光を浴びる。
  • 定期的に運動を行う。
  • 就寝前の飲食、アルコール、カフェインを控える。
  • 寝床にスマートフォンを持ち込まない。

1-3. 寝すぎ

一晩に眠れる時間は、年を取るとともに減ってきます。厚生労働省の指針によると、25歳で約7時間、45歳で6.5時間、65歳で6時間だそうです。寝床に入っている時間が長すぎるとかえって眠れないこともあります。

1-4. 病気

不眠症が続く場合は何かの病気にかかっているかもしれません。痛みやかゆみのせいで眠れない、夜中に咳が止まらない、呼吸が苦しい、身体がほてるといった症状があって眠れない場合は、専門の医師の診断を受けることを検討しましょう。

2. 寝床で眠れない時

夜中に目が覚めて眠れない時には、寝床でどうすればよいでしょう?

頑張って眠ろうとしても眠れません。こういう時は、寝る努力をするのをあきらめて、マインドフルネス瞑想をしてはどうでしょうか?

2-1. ボディスキャン

たとえば、寝床に入ったまま、ボディスキャンをやってみるといいでしょう。

ボディスキャンは、マインドフルネス瞑想の一つです。仰向けで横になって、身体の各部分を細かく観察していきます。

ボディスキャンの練習中は、できるだけ寝ないように講師からガイダンスされますが、多くの人が途中で寝てしまいます。

マインドフルネスストレス低減法(MBSR) を長年指導してきたジョン・カバットジン博士によると、プログラムの参加者で不眠に悩む人に、毎日の練習に加えて、寝床でボディスキャンの録音を聞くように勧めたところ、大きな効果があったそうです。

2-2. 呼吸を観察する

カバットジン博士によると、寝床で呼吸を観察すると、同じような入眠の効果があるそうです。

私も、夜中に目が覚めて眠れなくなった時は、呼吸を観察するようにしています。寝床で呼吸を観察するには、次の要領でやるといいでしょう。

  1. まず、寝床で自分が眠れないでいることを率直に認める。
  2. 身体中の力を抜く。特に顔の筋肉の力を抜く。
  3. 鼻、胸、腹部など、どこか特定の場所を決めて、その場所の感覚で呼吸を観察する。吸う息の始まり、続き、終わり、ポーズ、吐く息の始まり、続き、終わり、ポーズ、と呼吸の各プロセスをできるだけ細かく観察する。
  4. 途中で、心が呼吸から離れて何か別のことを考えていたら、そのことに気が付いて、そのような自分の 心に優しい気持ちと好奇心で接し、自分の意志で呼吸の観察に戻る。これを繰り返す。

私の経験だと、これを始めるといつの間にか、眠ってしまうことが多いです。眠れないとしても、マインドフルネスの練習になるので、無駄な時間を過ごした感じがしません。

2-3. 寝床から出て瞑想をする

カバットジン博士は、心が高ぶっている場合は、寝床から出て、座る瞑想や歩く瞑想を30分くらいやってみることを勧めています。そうすれば、心が落ち着いて眠りやすくなるとのことです。

3. なぜマインドフルネス瞑想が不眠に効果があるのか

眠れない時は、いろいろな考えが次々に頭の中に浮かんできます。そのことが無意識のうちに、次の考えを生み出す悪循環になっています。

マインドフルネス瞑想では、今この瞬間の身体の感覚や心の中に生じる考えや感情を観察します。これによって、無意識の思考の連鎖を止めることができます。

そうすると、眠ろうと頑張らなくても、眠気の方が向こうからやってきます。

4. 科学的な根拠

アメリカ国立衛生研究所の資料によると、デンマークにおいて、乳がん手術後の不眠で悩む336人に対して、ランダム化比較試験を行い、マインドフルネスストレス低減法(MBSR) の8週間のコースに参加した168人と、そうでない168人とを比べたそうです。

そうすると、コースに参加した人は、そうでない人と比べると、睡眠の質に関する問題が大幅に改善し、コース参加の12か月後でもこの傾向は変わらなかったとのことです。

この資料では、MBSRのコースは、統計的に、睡眠の質の改善に関する大きな効果があると認めています。詳細は下のリンクをご参照ください。

睡眠の質に関するMBSRの効果:デンマークの乳がん患者へのランダム化試験の結果

5. まとめ

眠れないときには、ボディスキャンや呼吸の観察など、マインドフルネス瞑想を試してみるとよいでしょう。

マインドフルネス瞑想を効果的に練習するためには、マインドフルネスストレス低減法(MBSR) の8週間コースに参加することをお勧めします。日本で参加可能なコースは、下のリンクをご参照ください。

日本で受講可能なマインドフルネスストレス低減法(MBSR) の8週間コース